カミーユ・クローデル展

美術館前にて

2006年5月30日〜7月17日
福島県立美術館 http://www.art-museum.fks.ed.jp/menu_j.html

巨匠ロダンの愛弟子にして、彼の愛人であったカミーユ・クローデル。彼女の生い立ちと共に生み出された彫刻作品を、幼少の頃から晩年まで時代を追いながら紹介していく展覧会です。

名声も高い巨匠の影で、小さく慎ましく生み出された作品達は、ロダンの影響も色濃く受けながらも、独自の繊細さ、儚さがあり、その作品から伝わってくる物語性、ドラマチックな展開が読みとれる動きを持っています。

そして、ロダンとの関係の破綻から心を蝕まれ、精神的な病に陥ってしまう生い立ち…。社会的な偏見と性差別。ロダンの贋作という不当な評価。でも、その作品は強く語りかけて来ますし、優美さ、荒々しさ、愛らしさ。まさに人が持つ肉体から発せられる感情を、強く感じます。

それは彼女自身の、感情の爆発が現れた結果なんでしょうね。作品「分別盛り(第2ヴァージョン)」に見られる強烈な皮肉。内縁の妻ローズ、ロダンカミーユ本人を現したというその作品は、まさに愛するロダンが自分から去っていく瞬間を写したもの。
若い娘から離れていく老人の腕。しかし老人は娘を見ておらず、ただ半歩先をうつろに見つめるだけ。その腕に追いすがるように両手を差し出し、跪く娘…。

もしかしたら、その強烈な感情の爆発が、作品を作るたびに心をすり減らす原因になり、心を、疲弊してしまった結果が、彼女の生い立ちになってしまったのかと…考えてしまいます。

展示会で、心が居たたまれなくなるのは、水戸で見た「ダークサイドからの逃亡展」以来です。

もちろん、そんな悲観的な作品ばかりだったワケじゃなく、作品「幼い女城主」など、リレット城の所有者の孫娘をモデルとした胸像は少女らしい華奢な体付きながら凛とした、それでいて謎めいたまなざしを向け…なんというか、萌えましたね。


ちなみに、ガンダムオタクとしては、機動戦士Zガンダムの主人公、カミーユ・ビダン命名の元となった人ってことで、知られていますよ。



うう、もう何て言ったらいいのか…。せめて天国ではみんなで仲良くいて欲しいです。