麻生日出貴個展「DANCE WITH DEVILS」

作品の前で取らせていただきました。

2006.11.14(tue)〜19(sun)
公式HP:http://homepage2.nifty.com/INFA/

会場:ギャラリー「エディット」宮城県仙台市青葉区春日町5-27
公式サイト:http://re-bridge.or.jp/news/

7月に続いて、見に行ってきました麻生さんの個展です。

え〜、最初にごめんなさい。実は今回、風邪気味という事もあり、体調的に万全ではなかったため、正直作品に対する見方が違っていました。
前回の展示の時もこのサイトで語ってますが、麻生さんの絵は、見た人の、当日の精神状態で、絵から受けるメッセージが変化します。
私、初めのうち、少々うがった見方をしていました。

なんというか…。絵に嫌われているな…と。まあ、この嫌われているという表現は正しくないのですが。そう、絵からのメッセージが伝わってこない。イコール無関心。

作品中、たくさんいる子供(?)達がこちらを見ていない。正面から視線を送っている子が一人しかいなかった。あとはそれぞれ、そっぽを向いたり、後ろを向いていたり…。

ただ、その時幸いだったのは、たまたま会場に来ていた、次に同じ会場で展示を行うという女性の2人組が、「かわいい、かわいい」と感想を言っていたこと。
その素直な感想の声を聞いて、実は、私自身が違う見方をしているんじゃないかと。何か、毒のある見方をしているのじゃないかと気づいたワケです。

邪念(?)を取り払って見れば、そこにあるのは、ただただ優しい光の中に、ただ在るだけという、当たり前の景色。
たとえば公園で、街角で、遊ぶ子供達を見ているとして、その子達が、見ている私に対し、なにかメッセージを投げかけるだろうか?
こちらから思いをはせる事はあっても、あちらから伝わってくるものは何もない。だって他人だから。
でも、それが、優しい空間の中に在るというだけ、それだけで、こちらが幸せに感じてしまう事ってあるような気がする。
笑っている一瞬だけではなく、それこそ、そっぽを向いたり、すねたり、怒っていても…なにか、ほほえましいと思う気持ち。
そこに在るだけで、ほほえましいと思う気持ち。それが伝わってきます。

癒し系の絵って良くありますが、大抵は「これが癒し!」という明確なメッセージやイメージを強く伝えているだけ。
ただ、麻生さんの絵にはメッセージがない。いや、麻生さんには何かを伝えたいって気持ちが在るのかも知れません…。
絵から伝わるのは、自分の、今の心の内。
優しい日常を切り取った絵に、こちらも優しい眼差しを向ける。
それは相互の関係。
見られる方、見る方。相互が優しい関係にあるとき。絵も、見ている自分も癒される…そんな気がします。

                              • -

DANCE WITH DEVILS タイトルのなかにある悪魔。一見恐そうなイメージですが、やわらかい光の中では、天使も悪魔も関係ないのだから…と麻生さんは言います。
今回の展示作品から、あまり輪郭をはっきりさせず、柔らかく背景ととけ込み、ぼかしていく表現に変わっていったそうです。
はっきりとキャラクターを立たせない。背景と一体になった情景は、作品から強いメッセージを発することがなくなった代わりに、見方の多様性を増していった気がします。

自分自身が優しい気持ちになっているかどうか。まるで朝、自分の顔を鏡で見ているときのように、絵が、その日の心の内を教えてくれます。

あなたのまなざしは 優しいですか?

                              • -

今回も、麻生さんのご厚意により、会場内の写真を撮らせていただきました。

会場を外から

会場を中から


麻生さん、今回も、いろんな話をしていただいて、ありがとうございます。毎回、会場の写真を撮らせていただいているのに、今回はネタ写真(一番最初のね)まで撮らせて頂いちゃって…。
もう、ほんと、ありがとうございます。これからも新しい作品を楽しみにしていますね。