横浜美術館企画展「アイドル!」

会場入り口前

横浜市西区みなとみらい3-4-1
2006年10月7日から2007年1月8日
公式サイト:(特典・割引クーポンあります)http://www.yaf.or.jp/yma/

今回は遠出してみましたよ〜。横浜です。まわりはカップルか家族連れしかいません。
…。まあ、いつも通りいってみましょう。

「アイドル!」
なんというか、美術館でやる企画展示としては、かなり思い切った内容だと思います。
アイドルというカテゴリーを中心に第一線で活躍しているクリエイターをピックアップし、その様々な表現方法を紹介する展示会。
会場は、個室に分けられた展示スペース一つに付き、一人(一種類)のクリエイター作品の展示という形で作られています。

なんというか、節操ないですね。2階展示室エスカレーターを上った両脇が、株式会社セガによる「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」と、中原杏さんによる、少女漫画「きらりん☆レボリューション」(小学館「ちゃお」連載)なのですから。
きらりん☆レボリューション 1 (ちゃおコミックス)

いま現在進行中の「アイドル」を題材にした作品。カテゴリ的にはメディアアートって形になるのかな。とはいえ、現実に活躍している「人」ではなく、バーチャルな媒体ってところが面白いですね。

きらりん☆レボリューション」では原画の展示と等身大POP。そして、キャラクターもののグッズ類の展示。アニメ作品のデモ映像や(このデモ映像と原画の内容が一致させてあるあたりがニクイ演出でしたが)ゲームソフトのデモ機展示(遊べる)。
展示スペースの壁に作者さん本人によるラクガキがあったりして…その、なんというか、私一人だけになると、なんか恥ずかしいです。だれか他の人がいるなら平気なんだけどなあ。

オシャレ魔女 ラブ and ベリー」にいたっては、実際に遊べるゲーム筐体が置いてありました。美術館の中に100円に両替する機械が置いてあるなんて初めてみましたよ…。
基本的に筐体とゲーム中のデモ画面映像。これまで発行されたカードの一覧と、キャラクター紹介でした。

この2作品。確かに若い年齢層に人気の作品って所は共通なのですが。通ってきた道として、このような売り出し方って昔からありましたよね。
アイドルを題材にしたマンガは少女漫画だけではなく、小学○年生などの小学館雑誌に広く連載されてましたし、「きらりん☆レボリューション」のような実際のアイドルとのタイアップ(アニメ作品の声優として、モーニング娘。久住小春さんを起用)を含むメディアミックス展開は「アイドル伝説えり子」や「アイドル天使ようこそようこ」などで行っていたこともありました。
また、「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」の展開も、昔からあるグッズ類を、メディアの力で遊びの要素を引き上げただけで、コレクションすることを目的にした販売方法は、これも昔からあるものですね。

なんとなく。アイドルを支える人気。特に子供達に広く知ってもらうための方法って、昔から変わってないんだなあというのが素直な感想です。

さらに素直な感想。中原杏さんのキャラクター…。目がデケーなあ!
このバランスを素直に受け止められるってのは、ある意味、マンガ慣れした日本人だけかもしれませんよ。実際、この後に展示してある川島秀明さんの作品を見ていても、最初は目の大きさにギョッとしますが、だんだん慣れてしまいました。

そして、篠山紀信さんや、蜷川実花さんの作品。こちらは実際の芸能人を写真を媒体にして表現する作品ですね。アイドルと呼ばれている人々をそれぞれのカメラワークで残しています。なんというか、正統派ですね。

あと、気になっていたのは、川島秀明さんの絵画。少女漫画を思わせる繊細な線で描かれた顔。そこに覗く瞳は、リアルに描写されながらも実際より大きく、ある意味デフォルメされています。写実的でいてデフォルメ。何かおかしい。現実的ではないと思いながらもマンガ作品に慣れた脳は、それを違和感なく理解してしまう。不思議な感覚でした。
余談。作品名「star」を見て…。おお、オスカルだっ!とか思ってみたり。

会場のレイアウトとしての後半部分に現代美術作家が集中していましたが、それぞれ、なにかマンガ的であったり、テレビなどのメディア作品に強い影響を受けているものが多く、アイドルってメディアが生み出していくモノなんだなあ〜と強く思いました。


会場のマップと特典のポストカード。さらに会場に用意してあるアンケートに答えるとポスターがもらえます。


これだけでは終わらない。その1。
11月の麻生日出貴さんの個展にお伺いしたとき。麻生さんから横浜に「やなぎみわ」さんの作品と、奈良美智さんの作品が常設展示されていると聞いていたので、実はそっちも楽しみだったのですよ。
「アイドル!」展会場からそのまま常設展会場に入ると、最初の部屋から、このお二人の作品が飾られていました。

やなぎみわ」さんの作品は「案内嬢の部屋」…。あれ、これって宇都宮のVOKA展に出展されたものと同じかな?残念ながら、これ一作のみの展示でした。初期の作品を見れる機会ってもうないのかなあ。このころの作品をもっと見てみたいです。

奈良美智さんの作品は、よしもとばななさんの作品「アルゼンチンババア」の挿し絵に使われた2002年の作品を中心にした展示。
アルゼンチンババア
奈良さん独特のにらむ様な子供の絵は少ないのですが、ちょこっとしたラクガキの様なユーモラスな雰囲気は堪能できます。
もちろん、にらみ目の女の子もいましたが…。最近の奈良さんの絵と比べると、視線の投げかけ方が違いますね。最近の作品は、絵の相手がこちらをちゃんと見ている。でも過去の作品は、確かににらみつけているように見えますが、視線は合わせていない気がする。見ている自分の、さらに斜め後ろをにらまれているような気分。このころの奈良さんには、もしかして絵を鑑賞する人の事が、眼中になかったのかもしれません。

しかし、この常設展。こちらもかなり節操がないです。セザンヌがあったり、サルバドール・ダリがあったり…。本気で見るなら、かなり時間をとって見ないと。駆け足で見るのはもったいないですね。

そんなこんなで、朝10時から、結局午後2時くらいまで見続ける結果に。せっかく関東付近まで来たので、本当はもっといろんな美術館を見てみたかったのですが…。これ以上みると、たぶん記憶が薄れてしまって感動がなくなってしまうので、見るのは打ち止めにしました。

美術館では、併設のショップで図録を買うことが多いのですが…。今回は図録ばかりではなく、「きらりん☆レボリューション」の1巻まで買ってしもた…。
少女漫画が、美術館のショップに平積みされているのって、これも初めての体験かもしれません。


これだけでは終わらない。その2。
横浜ランドマークタワー69階「スカイガーデン」

やってはならない事。男一人でデートスポット探訪…。
風景を見に行ったのか、カップルを見に行ったのかわかりませんなあ。

このツリーの前で、小さな女の子の写真を撮っている家族連れ。両手を顎の下で組んで祈るようなポーズをつくって撮影。ご両親。狙いすぎですって。そんなことされたら、見てるコッチまで顔がにやけてしまいますがな〜。