山形、天童市美術館

annon2007-07-25

ただいま8時50分。JR仙山線の車内です。すでに福島から高速バスに乗って仙台。そこから山形方面に向かっています。
天気は上々。薄いウロコ雲が巨大な鳥の翼のように意思を持って拡がり、地上をはい回るボクらを嘲笑うかのように…
…。イカン。昨日エンドレスで聞いていたアンインストールの影響で思考がセカイ系にトンでいます。
この真夏の暑さが正気に戻してくれるでしょう。
真夏と聞いて夏影を流し始めるサブカル脳内は、取り敢えず置いておいて。

今日の目的地は天童です。

天童市美術館
こどものとも」絵本原画展
6月29日〜8月5日

山形市から北に上がった街。いで湯とフルーツと将棋の駒で有名らしいのですが…、今回は普通の休みで、時間的余裕も無いので、目的地に直行です。

小学校に上がる前の児童を対象にした月刊誌「こどものとも」。その中から、10作品を展示しています。
私が伺う前に、近所の小学生の団体さんがいました。うむ、山形の子は礼儀正しいなあ。見ず知らずに私に、挨拶してくれます。
その子達を見ていて…展示作品が、全て小学生の目線に併せて掛けられているのに気がつきました。
これ、大人にとってはちょっとツライ。ちょうど胸のあたりに作品があるので、立ったままだと低すぎるし、しゃがんでみるには高すぎる…。ちょいと腰の痛くなる展示ですねぇ。
有名どころでは、堀内誠一さんの、「ぐるんぱのようちえん」この作品は、読んだ事が無かったのですが、やけに器用な像のぐるんぱに嫉妬を覚えたり。(笑)
初めて森を出て、クッキーを焼くくらいならともかく、靴や、ピアノ、自動車の組立までやるって…どんな技術者ですかっ!!
う、その技術、すこし分けて欲しい…。

あとは、西村繁男さんの「やこうれっしゃ」が好きだなあ。夜行寝台特急の車内の様子を、解説も無しに、淡々と描いているだけなのに、その座席一つ一つに座る人々の心情が見えてくるようです。

展示は1階と2階に分かれていて、2階では降矢ななさんの「やまんばのむすめまゆ」が目を引いて…って、この方は、この間日光の展示で、「ありがとうともだち」を描いていた方ですね。今回の「まゆ」もなんかこう、非常にかわいらしくて微笑ましくて、千と千尋の神隠しを見ているような気分です。その上、龍が上空を舞う様、荒々しい雲のなびき、激流と、激しい描写も織り交ぜて描かれているので、ドラマティックな展開が非常に心に残りました。


そんなこんなで1時間くらい滞在して、美術館をあとにしました。

遅いお昼の時間だったのですが、帰りの電車が3時頃にならないとありません…。
そんなときは、とりあえず違う美術館に入ってみましょう。

斎藤真一心の美術館
古い蔵造りの建物をそのまま美術館にしています。本当は出羽桜美術館の別館なのですが、本館の方は時間が無くて断念。

予定になかった場所で、本来の目的地以上の出会いがあることは良くあることですが、今回も素敵な作品に出会えました。
どことなく、ベルナール・ビュフェを思わせる暗さ。東北の厳しい寒さの中にあって、一時期の心のよりどころを求める人々の交流と葛藤。その中に一際目立つ真なる赤。
その赤は…最初冗談ではなく、赤色LEDかなんかを仕込んでいるんだと思いました。絵の具での表現なのに、実際の光よりも鮮明鮮烈。血のように、夕日のように、情愛のように、悲恋のように…刺す赤です。
モノトーンの中にあるからなのでしょう、その赤が、心に刺さります。
…こんな事なら、昼ご飯の時間を短くしてでも、ここに早く来るべきだったなあ…。


後はダッシュで帰るのみです。3時8分の電車を逃したら…帰れるのかなあ。
それなのに、寄り道したいセンサーが敏感に捉えてきやがります。
「フルーツポンチッチのお店 フルッティア」

天童駅と斎藤真一心の美術館の間にあったのですが…フルーツポンチッチって…。
中は、普通の洋菓子屋さん。フルーツ系に特化しています。せっかくなので、生絞りフルーツジュースを買って帰りました。マンゴージュース、500円。
…これは、食感が無いだけで、マンゴーそのままだわあ。なんかこう、ビタミンが体を駆けめぐっているような感じですねぇ。



そんなこんなで、今回の旅は終わり。悔やまれるのは、アニフォト用のイラストを忘れてきている事…。趣旨に反するじゃん。コレ。
まあ、なんとか振れている心の針を少しでも戻せたらなあと思って、絵本を見る旅だったのですが…。ちょいと最近、サブカル脳にやられていまして、そっち方面の活動を継続中だったりしています。絵本…つくらないとなあ〜。