「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」読終

annon2008-02-15


この間行って来た文化庁メディア芸術祭の、マンガ部門優秀賞作品。
あの会場で、知っている作品がほとんど無かった事の驚きから、一つくらいは読んでみようと思って手にした作品です。
すごく軽い気持ちで読み始めたんですが、なるほど、すばらしい作品でした。

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃

男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃に父の訃報が届いた。母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉を舞台に家族の「絆」を書いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!

  • 裏表紙、あらすじより

遠い山形の地で死んだ父。喪主としての立場を忘れ、責任を放棄して泣き続ける父の再婚相手。
責任を放棄したり、押しつけたり。勝手気ままな大人達の中で、責任の重さを半ばあきれながら痛感していく三姉妹。

お葬式があったり、複雑な人間関係がある割には、心に溜まるわけでもなくスンナリと読めてしまう。極端な描写をさけ、感情を淡々と表現していて、むしろさわやかな読後です。
感情を込めて訴えたいときは、細密な線でシッカリと描き、何気ない気の抜いたシーンでは、まるで4コママンガのような軽い線になる。その使い分けがストーリーの重々しさを払拭しています。
そして、物語の端々で生み出される強い言葉達。グダグダな大人達を「はっ」とさせるセリフは痛快で、読んだ後も、強い印象を残します。

そして。表紙のイラストが良いんですよ〜。
去年の5月。伊藤正道さんのギャラリーを見に鎌倉に行ったときの、江ノ電から降りて海沿いを歩いたときの風景が甦ってきました。
ああ、暖かくなったらまた鎌倉行きたいなあ。