水戸芸術館現代美術ギャラリー

annon2008-02-19

宮島達男 Art in You

1から9まで数を刻むカウンター。しかし、ゼロの時は光を灯さず、消灯する。
様々な配置に並べられたカウンターは、それぞれ思い思いのスピードで数を刻み、そして消える。
まるで、人の命を刻むように灯り、人の死を象徴するように消える。

現代美術作家、宮島達男さんが初めて個展を開催してから25年。この記念すべき年に新たなる美術概念、「Art in You」を紹介する展覧会。

「アート作品は、何かと
出会い、何かに気づき、何かに感動するための装置に過ぎず、アート的体験や感動は、人間ひとりひとりの想像力の中にある」

  • 「Art in You」   宮島達男


宮島達男さんと言えば、東京都現代美術館にある常設展。最後のフロアにある壁一面に並べられたカウンターが思い出されます。
初めて見た当時、理解出来ない不思議な気持ち良さに、しばらく椅子に座ったまま動けなくなる経験をした私にとって、宮島さんの作品がまとめて見ることが出来るこの展覧会は、かなり期待大です!




今展覧会最初の作品。「Death of Time」 広島市現代美術館
きたきたきたっ!コレですよコレっ!
広いフロア、外からの光を遮断し、暗闇に沈む空間。腰よりもやや低い位置に一列に並べられたデジタルカウンター。刻む時間はバラバラ。消灯する時間もバラバラ。まるで人の営みを高見から見物しているかのよう。
ただし。部屋三面にスキマ無く敷き詰められたカウンターの一角。正面の壁の真ん中だけ、ある長さだけカウンターの置かれていない。闇の空間が存在しています。
…まるで、原子力爆弾が投下され、人の営みが停止しているかのように…。

「死を暗示することで生を表現した」Deathシリーズは、人の生と死だけでなく、そこに「平和」を伝えるために新しい次元へと進化します。

「Death of Time」は、ただ単に人の生と死。営みだけを表現したのではなく、空白の闇の怖さ。そしてその闇こそが、人間の愚かな行為によって生み出された「生の空白」であり、それを見せつけることで、平和を訴えかけているのだと思います。

すげー。コレを何時までもぼーっと見ていたいです。てか、椅子が欲しいよ〜。



暗い空間での作品展示はこれだけでした。

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「C.T.C.S with You」
丸い鏡の真ん中にカウンターが光輝き、そのカウンターをのぞき込むと、見ている鑑賞者が鏡に映り、作品の一部になる作品。

その他にも、北海道や奈良、広島や沖縄などで行われたワークショップキャラバンで、参加者の体にカウンターをペイントし、それを被写体として制作した写真作品「Counter Skin」や、参加者が自分の「死亡年月日」を入力し、参加者自身の写真と共に死へのカウントダウンを行う映像作品「Death Clock」など、広く参加者を募って生み出した作品も多数展示していました。

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新作の作品の中では、一番大きな「HOTO」
高さ5.5m、直径2.2m。カウンターが3827個が埋め込まれた作品です。鏡のように磨き上げられた表面を持つ多面体の塔。
…うわ、難かコレ、草間弥生さんの作品のような気持ち悪さがあるなあ。
闇のカウンターとは違い、何か人の意志を故意に誘導しているような感じがします。
サブカルの匂いって言うか…。うまく言えないんですが…。

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結局会場を2周くらいして、最後に「Death of Time」の間で、もうしばらく感傷に浸ってから会場を後にしました。

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今日のお昼ご飯(笑)

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あれ、時間が余ったなあ。では、芸術館で漁った展覧会情報を元に、違う会場に行ってみましょう!


笠間市立友部図書館ギャラリー
月魚ひろこ イラスト展



芸術館で案内ハガキを見たので立ち寄り。
…。まずい、すごい琴線に触れた!
というより、自分が本格的にCGを始めた年に、今の自分が目指す方向で絵を描いている方がいたこと。そしてなにより、自分の絵の進みの遅さに絶望したっ!(笑)

塗りにしろ、色彩の配置にしろ、描き始める前の「こうなれば良いなあ」って思っていたものの、正解の一つを見せられたような気がします。

なんかもう、色の明度に違いによる引き締め感とか、明度の強い光の表現と、暗い背景との境に使われるボカシの表現とか。画像として統合していない生のフォトショップデータくださいっ!って本気で思いましたよ。
手前の被写体、奥の被写体。重なる対象それぞれに影を落とし、多段層の切り絵作品のように見せる手法とか。
油絵風のテクスチャを乗算で重ねて、手塗り風の表現に持ってく手法とか。
一つの作品に3枚くらいの絵を並べるときに、それぞれの作品の縁をエンボス加工して、大きなキャンバスに張り付けたように見せる手法とか。

スイマセン。今後自分の作品でマネします。なんかもう、参考になりました。

気が付いたら、なんかこう、こっちの方が最初の目的地だったような気になってしまいました!(笑)

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さて、ちゃんと納豆は買ったし(笑)あとは宇都宮までついでに寄って、餃子を食べてから帰ります〜。
しっかし。ガソリン価格高騰のこのご時世。車で遠出するって旅は…なんか、ものすごい贅沢な気がするなあ。