CCGA現代グラフィックアートセンター

annon2008-09-25

黒のモノローグ“タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション展Vol.19”
え〜と、お久しぶりです皆さん。ちょいとリアルがごたごたしてたんで更新出来ないでいましたが、そろそろ復帰します。
福島県須賀川市にある、大日本印刷メセナ施設。CCGA現代グラフィックアートセンターです。
ここは…なにかリアルで息苦しくなったときに訪れる、安く閉鎖空間に飛び込むことの出来る施設。
シンと静まりかえった空間。聞こえるのは己の靴音だけ。訪れる人も少なく、良い、心の均衡を得られます。

版画を主とする作品展は、その意図を読みとるのは難しく、かつ、絵のラインだけを素直に追うと、まるで宇宙を駆ける軌跡のように自由奔放な形が目を癒します。

現在の企画展、「黒のモノローグ」は版画作品の中でも、色をほとんど配しない、モノクロの作品だけの展示。
筆跡さえも残さない、真の黒は、その黒に、背景を、鑑賞者を映し込みます。
絵を自分が見てる。絵の黒は自分を映す。その黒には、さらに反対面にある他の作品を映す。
絵の中にあるもう一つの美術館。漆黒はその時、色鮮やかな照明と壁面を映し出し、無権の空間を生み出します。

ドナルド・サルタンが描いた「黒い花」その漆黒の花の中に、反対側に展示してあるジェームズ・ローゼンクイストの作品が5点、映り込みます。
一つの作品を見ているのに、その奥に5点もの作品を同時に鑑賞できる…。そして、その劇場にも似た空間の中心にいるのは、鑑賞者たる私。
作品は私を映す。私を中心に5点の作品が並ぶ。それは一つの作品が描き出す、言葉無きモノローグ…。
力強さとはちがう、張りつめた糸が奏でる一閃の音。そんな空間が広がっていました。

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すげーな、これ。偶然なら、ホントその一瞬に立ち会えた事に感謝するし、意図してやった配置なら、コレを考えた方は、もの凄いセンスの固まりですねぇ。
感謝、感謝です。