筑波宇宙センター一般公開!

筑波宇宙センター

思い出した順に、更新します。

筑波宇宙センターは筑波研究学園都市の一画にあり、1972(昭和47)年に開設しました。約53万平方メートルの敷地に、研究学園都市にふさわしい緑ゆたかな環境と最新の試験設を備えた総合的な事業所です。
JAXAホームページより

HTVかわいいよHTV!という訳の分からん感情に突き動かされて発熱したJAXA病ですが、とうとうその運用を統括している筑波宇宙センターの見学というところまでやってきました。まったくオタクってやつは、際限がなくて困りますうりょ〜。
施設見学自体初めてですし、かなり舞い上がっているので要領よく見ることは多分不可能なんじゃないかな〜という事もあって、講演と、HTV関連の施設がみれたらな〜と思っています。

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最初に来たのがWブロック。ここは、「きぼう」の管制を行っている「宇宙ステーション運用棟」と、HTVのエンジニアモデルが置かれている「宇宙ステーション試験棟」あと、講演の会場になっている「宇宙実験棟」があります。

10時15分より、ヒューストンから野口聡一宇宙飛行士、山崎直子宇宙飛行士を交えてのトークライブに参加。

12月から6ヶ月間の宇宙ステーション長期滞在に向けて訓練中の野口宇宙飛行士。来年2月からの、スペースシャトルによる補給ミッションに参加する山崎宇宙飛行士のお二人。打ち上げに向けての訓練中の合間にこのイベントに参加しています。
野口さんは、ロシアの宇宙船を使用して国際宇宙ステーションに向かい、日本の実験モジュール「きぼう」の最終組立(ロボットアームの先端に取り付け、より精密な作業をするスモールファインアームの組み立て)や、HTVが持ち込んでいる植物を使用した実験などを行う。
今回は長期滞在なので、自由時間も多くとれる。富士山を見たり、47都道府県を写真に収めたりしたいとのこと。
山崎さんはもと筑波のエンジニア。スペースシャトルアトランティスでの2週間のミッションに参加。今回は物資の運搬のリーダー役や、映像などの記録係の仕事をこなす。ロボットアームオペレーターでもあるので、実験に参加することも。野口さんと滞在期間が重なるので、宇宙ステーションで初めて、日本人が2人同時に滞在することになる。
一通り話が終わって、会場に来ている方からの質問コーナーに突入。

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質問:宇宙で楽しみなことは?
野口さん:山崎さんが途中で合流すること。宇宙で合奏したい。
山崎さん:宇宙で日本語で会話できること。

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質問:大変だった訓練は?
野口さん:宇宙船が打ち上げ失敗して不時着したときのサバイバル訓練。極寒の地で「眠ると死ぬぞっ!」って声を掛け合ったり、海に不時着してゴムボートで漂流したり。

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質問:どうして宇宙飛行士になったのか。
野口さん:ロケットや飛行機が元々好きだった。アニメの影響もある。高校生の時スペースシャトルの打ち上げをみて、「こういう仕事もあるんだ」と思い、猛勉強して宇宙飛行士の募集に応募した

山崎さん:望遠鏡で見た月のクレーターに感動して。調べていくごとに好きになった。学校の先生にもなりたかったけど、スペースシャトルの乗員のマコーレックさんを知って、学校の先生でも宇宙に行けるんだと思って。

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質問:宇宙で一番恋しくなるのは
野口: 宇宙ステーションはお酒禁止なので〜(会場爆笑)あ、小さな子供さんも聞いているので…やはり家族が恋しくなります。

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質問:仕事上で大切なことは?
山崎:コミュニケーションをしっかりとって、常に優先順位を考えながら行動すること。

最後に、山崎さんから、「これから少しづつ「きぼう」を組み立て、運用できるようになって、私たちが「きぼう」に魂を吹き込んでいく、そんな仕事をしてきます。」と話しておりました。
まだまだ「きぼう」の実験も始まったばかり。これからたくさんの発見があるのでしょう。ほんと頑張っていただきたいですね。

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続いても講演。H−2Bプロジェクトチーム、ファンクションマネージャーの有田誠さんのお話
H−2Bは真夜中の打ち上げになりましたが、これは宇宙ステーションの位置によるものです。ただ、当日は一番の心配だった横風もなく、打ち上げには良好でした。ただ、雲が多かったので、見学に来た方にはすぐに見えなくなってしまったので残念だったことでしょう。実は、鹿児島の方では、雲の上に飛び出したH−2Bがよく見えたそうで、写真や映像がJAXAにも送られてきています。
日本は、人工衛星を打ち上げることを、外国に頼らないで持つことを国として宣言しています。この宣言の元になるのが基幹ロケット(フラグシップロケット)となるH−2AやH−2Bです。
H−2Bを開発したわけは、国際約束でもある宇宙ステーションに補給物資を届けるHTVを打ち上げる能力を持っている事と、打ち上げのバリエーションを増やす目的の2つがあり、三菱重工と共同で開発しました。
H−2Aで使用された技術を応用し、低コスト、低リスク、短期間(4年)で開発しています。H−2が12年、H−2Aが6年かかっていた開発期間と比べても、極端に短いです。あのNASAに「キ○ガイじみた開発期間だ」と言われたそうです。その理由は、開発と製造を同時進行したこと。H−2Aで使われた技術が多用されており、実証試験をしなくてもある程度性能の予測ができたため。
でも、基本的にはひたすら燃焼試験をし続ける以外にはない。秋田で8回、種子島で2回の試験を行った。
それよりも、HTVを覆うフェアリングが大変で半年ごとにどこか割れたり破損したりしてたそう。
打ち上げに予定された時刻に、どんぴしゃに打ち上げできたことは日本では始めて。HTVの切り離しは最初の予定から4秒遅れ。ほとんど無視しても良いほどのずれでしかなかった。

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続いて質問コーナー
質問:打ち上げができなかったらいつになってましたか?
有田さん:3日後でした。

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質問:次回の打ち上げは昼間にならないですか?
有田さん:1年後の宇宙ステーションの位置によるので、まだ分かりません。

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質問:今回初めて、ロケットエンジンを束ねるクラスター化をしたわけですが、苦労した点は?
有田さん:実は苦労しませんでした。ただ、底面が熱くなってしまうので熱による心配がありました。左右のエンジンが少々アンバランスになっても、ロケット全体で調整できるので少々問題が起こっても大丈夫でした。

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質問:今後固体のみの燃料になることはある?
有田さん:たしかに水素は軽いために、容積が大きくなってしまいます。ただ、推力が大きいので1段目はともかく、2段目には必須です。

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続いて続いて、HTVプロジェクトチームファンクションマネージャーの佐々木宏さんの講演

実は今日くらいにHTVは宇宙ステーションから切り離される予定でしたが、ISSにたまったゴミが多くて積み込みに時間がかかっているみたいです。あと2週間くらいはかかるそう。
宇宙船の定義とは?
・自分自身で飛行できること。 たとえば実験棟「きぼう」は自力で飛行できないので宇宙船ではない。
・人が乗り込めること。  たとえばH−2Bは人間が乗ることができないので、宇宙船ではない。
日本は、国際的な分担義務として、6トンの物資を運ばなければならない。そのために研究開発してきたのが、自動ランデブー技術。有人安全システムの設計技術。
このランデブー技術は、高度400kmを秒速8kmで飛行中に、秒速1cm以下の誤差で停止しなければならないという課題があった。
HTVは、なにかコマンドを送ってもすぐに対応できるわけではないので、自動化する必要があった。
今回、ロボットアームでのドッキングという新しい試みをしたわけだが、これは、ロシア式のドッキングに頼らない唯一の方法だから。スペースシャトルプログレス、ATVもロシア式のドッキング方式に頼っている。HTVは独自のドッキング方法であり、アメリカも注目している。「HTVの機器を売ってくれないか」との話も。ロシア式のドッキング方法をとるということは、ロシアから部品を買わなければならないということ。もしもロシアから部品が変えなくなる事態になったら、大変なので今回のHTVのドッキングは各国が注目してた。

この後、打ち上げのビデオを見ながらの講演に。

HTVの管制室で、急にスタッフが机に向かうシーンで…
佐々木さん:H−2Bからの切り離し後HTVから電波が届くのは5分後くらいだと思っていたのに、1分で届いたのでビックリしているところです。

HTVへのロボットアーム操作時
佐々木さん:このときHTVがきちんと静止しているので、ISSの宇宙飛行士たちはビックリしたそうです。

ロボットアーム接続が成功して、管制室で立ち上がってよろこんでいるシーンで
佐々木さん:本当は立ち上がっちゃいけないんですけどね。(笑)彼はこの先たくさん仕事があるはずなので。

HTVのISS接続が成功して、宇宙飛行士が乗り込むシーンで。
佐々木さん:本当はすぐ入っちゃいけないんですけどね(笑)

HTV内部で日の丸を飾るシーン
佐々木さん:あれ、日本側は知らなかったんです。粋なことをしてくれましたね。


続いて質問コーナー
質問:今回のドッキングのメリットは
佐々木さん:ロシアから物が買えなくなる心配があったから。ドッキングする機構とドッキングハッチが別パーツなので、開口部を大きくとることができること。

質問:再突入時、HTVは燃え尽きるの?
佐々木さん:エンジン部など、熱に強い部分は残ってしまうでしょう。

質問:再突入は日本から見える?
佐々木さん:安全のために人がいない場所に落とすので見れないでしょう。ただ、切り離し後、明け方沖縄上空を通過するので、そのときは見られるかもしれません。

質問:有人飛行への課題は?
佐々木さん:空気の問題は大変じゃない。あとは安全性と再突入カプセルを持っていないこと。ロケットを有人対応にしなければならないこと。何か失敗したときに、緊急切り離しをする機能がない。

と、こんな感じの講演でした。HTVの仕事ももうすぐ終わりになります。最後までしっかりお勤めを果たして欲しいですね〜。

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講演の合間合間を抜け出して別のところにも言ってみます。
まずは、お隣の施設。w−4宇宙ステーション試験場。最初は何が置いてあるか、あまり気にしないで入ってみたんですが…。

HTVの実物大エンジニアモデルぅ〜!?
あ、ちょっと感動した。目や話で追うばかりのHTVでしたが、試験用のエンジニアモデルとはいえ、ほぼ同じ仕様のHTVに会えるとは思いませんでした。しかし、こうしてみるとデカイですねぇ。

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W−2宇宙ステーション運用棟。ここでは、国際宇宙ステーションの実験モジュール「きぼう」の運用管制室をみることができます。とはいえ、さすがに機密のレベルが高いのか荷物の持ち込みができず、建物内に入る前に預けるようになり、しかも前面撮影禁止という状態。なんかこー、上野動物園のパンダみたいに並んで通り過ぎるだけの見学でした(たとえが古すぎだろうか〜っ!)「きぼう」管制室は…まあ、パッと見はパソコンのモニターが並べられた視聴覚室っぽい感じでしたね。むしろ正面に移っていたNASAの管制室の様子が、NHKのクローズアップ現代HTV特集で見たまんまだったんで、「あーあれ見たことあるな〜」とか思っていました。
HTVの管制もやっているんですか〜って聞いてみたら、「ここじゃないけど、この建物のどこか」というお返事。むむ、機密度ではHTVの方が上か?
「きぼう」管制室の隣には、きぼうに敷設された実験用プラットホームに接続されている個々の実験機器の管制室になっていました。いくつかの机のかたまりがあって、その上に何の実験機器の管制をしているのか、名前が書かれたプレートが天井から下げられています。その中にSMILESのプレートを見て、「おおっ!超伝導サブミリ波リム放射サウンダだっ!(もうソラで言える様になってもた)」なんて声に出してしまいました。
しかし、こんな実験機器まで擬人化しているなんて知ったら、あそこの人ら、なんて思うだろ〜。