麻生日出貴個展「虹のはじまりとおわり」

会場前の立て看板

公式HP:http://homepage2.nifty.com/INFA/

会場:ギャラリー「エディット」宮城県仙台市青葉区春日町5-27
公式サイト:http://re-bridge.or.jp/news/

今日は仙台です。今回が2度目の訪問になる麻生日出貴さんの個展。半年くらいの定期的な開催をするとのことで、今回はお葉書を頂いて知りました。
会場は、仙台メディアテークにほど近い小さなギャラリー「エディット」。明るいオレンジ色に塗られた可愛い建物です。

ちょっとした研修室(あるいはコンテナ1個分?)くらいの大きさの部屋。白い壁に並べられた油彩の絵たち。
そこに浮かぶのは楕円を基調とした、ディフォルメされた輪郭を持つ子供の顔。淡い色彩の中、浮かぶように、上の方にいたり、下の方にいたり、真ん中にいたり。
強い表情や、派手なしぐさのない、ともすれば、ただぼんやり浮かんでいるだけのような描写。
黒く塗りつぶされた瞳は、見ている側の視線から、ちょっと外れた所を見ているように伏せられたり、そっぽを向かれたり。時には、まっすぐな視線を向けられたり。
会場全体が、大きな絵本になったような、優しい空間です。

強いメッセージ性が無い分、その日の、見る側の精神状態で、いかようにでも雰囲気が変わってしまいそうで、今日は今日の、私の見た感想が、違う日の自分には違う捉え方をしてしまいそう。
元気なときには元気なときの、落ち込んでいるときには落ち込んでいるときの、その時々の、絵からのメッセージがあるような。絵を通してその時の自分の感情を読みとってしまえそうな…そんな不思議な感覚になります。

麻生さん本人も会場にいて、色々と解説して頂きました。そのときに、「見る人の鏡になるような絵」という話がありました。会場内にいる時でさえ、一つの絵が、後ろ向きに見えたり、前向きにみえたり…。もしかして今日の私、情緒不安定かっ?それはそれで、ドキっとする感覚です。鏡…確かにそう感じます。
他にも、飼っている犬の、時折見せる思慮深かげな目や、旅先で見かけた仏像の目を自分の絵に表現してみた話など、今回の絵を描くに当たっての話など興味は尽きません。

こういう個展を見に来て、改めて思うのは、「絵って買えるんだなあ」ということ。当たり前なんだけど、普通に美術館に並べられている絵も誰かが買ったものなんですよね。私の中では、美術館の中の、空間の共有みたいな感覚を楽しんでいるので、「この絵が自分の家にあったらなあ」という思いに浸ったことは今まで無かったのですが。(図録が買いたくなることはありますけど)
いつか、そう思えるすばらしい出会いがあるのかもしれません。


次回は11月とのことで、今回とはまた違った「瞳」が見られると思うと、今から楽しみです。


会場の雰囲気