国際福祉機器展

東館中央、ガレリア

第33回 国際福祉機器展 H.C.R.2006
期日:平成18年9月27日(水)〜9月29日(金)
会場:東京ビッグサイト(有明)
関連サイト 財団法人保険福祉広報協会
http://www.hcr.or.jp/index.html

体に障害を持つ人が生活の中で使う箸やスプーンなど「自助具」と呼ばれる道具から、車椅子、福祉用車両に至るまで、国内554社、海外16ヵ国78社より、25,000点にものぼる福祉機器が展示されています。

東京ビックサイト、東館の1から6の全会場。会場内は企業別にブースが仕切られ、それぞれの福祉機器が実際に使えるような状態で展示されています。

会場ではこのように参加者の職種を明らかにしたシールを体に貼ります。これによって、各ブースの係員の対応が違ってきます。たとえば一般の参加者と、福祉施設職員では用具に対する説明も違ってきますし、渡す資料も違います。

日本では元々、バリアフリーという考え方がありました。これは障がい(バリア)を持つ人が、それを乗り越えたり、感じさせないで生活できるという意味をもち、あくまで障がい者を対象にした考え方です。
しかし、近年はノーマライゼーションという思想が中心になってきました。これは障がいの有る無し、性別の違い、年齢の違い、すべてにおいて使いやすい物を生み出していくという考えです。
今年の展示会は、特に住宅設備機器メーカーなどは、このノーマライゼーションという考え方に乗り、全ての商品が全ての人に使いやすい物になっていました。これは、裏を返せば、普通に店頭で買える商品が、福祉用具という使い方もできると言うことであり、わざわざ国際福祉機器展に見に来なくてもいいと言うことになります。
TOTO、INAXなど住宅設備機器メーカーは、もう近所のショールームにある物しか展示してないです。
ただ、松下(ナショナル)は、車椅子や可動式ベッドなど、本来専門メーカーしか扱っていなかった用具の開発を始めており深くつっこんだ内容になっていました。昔から色弱の人に使いやすい配色パターンを研究した操作部、リモコンなどの開発に造詣が深いメーカーだけに、今後の展開に関心があります。

逆に専門メーカー、特に手すりに使用される金属金物とか、車椅子や歩行器など移動用機器などを専門に扱うメーカーなど、その分野のみ開発しているようなメーカーは更に深い所につっこんだ製品を送りだしており、バリアフリーの考え方にそった展示が多く見られます。
ユニットバスなど最近の浴室に取り付けられるようになった手すりや、遮断機のように途中から切り離しのできる横手すり。
普通の手回し式の車椅子の前に取り付けるだけで電動走行車椅子になる機械や、悪路走行にも対応する4輪駆動式の車椅子。
ベッド内での体にかかる圧力を分散させ皮膚の損傷を防ぐゲル状のマットや、自動的に空気圧を調整し、またその空気を噴出する事で蒸れを防ぐ空気マットなど。
車椅子を後ろに搭載できる車や、障がいを持つ人が運転できる車(手だけで操作できる物や、足だけで全ての運転が可能になるホンダの操縦システムなど)乗り込んだ後、車椅子を自動で収納できる装置など。
もちろん全て実際に手に取り、使うことができるようになっており、その使用感を試せます。

更に今年からは、障がいを持つ子供用に、特に開発された福祉用具を集めたブース「子供の広場」を設置するなど、広い会場内に分散してしまう用品を一カ所にまとめるという配慮もされており、目的の物が探しやすくなっています。

福祉機器という、普通に生活している人には余り関心のない、むしろ触れたくない部分の用具ですが、その用品一つ一つに込められた願いと知恵、アイデアを見ることは、そう言ったグレーな感情を抜きにした面白い発見ができますし、普段の生活の中で不便に感じるような事も、やり方次第でいくらでも改善できることを、これらの用品が教えてくれます。
そして、当日、学校のイベントか何かで参加していた女子校生たちの、「これってフツーに毎年来てもいいよねー」という言葉が、この会場での楽しさを明確に伝えているような気がしました。
参加は無料、職種、年齢、障害の有る無しに関係なく全ての人達が会場に入ることができます。来年当たり、みなさんも参加してみてはいかがでしょうか。