CCGA現代グラフィックアートセンター

会場の駐車場の縁石


第40回企画展
野田哲也:日記
2006年9月30日(土)〜12月24日(日)

福島県須賀川市塩田宮田1

公式サイト http://www.dnp.co.jp/gallery/ccga/welcometoccga.html

美術館の企画展も、そろそろ今年分が終了している会場が増えてきました。地方だと、年をまたいだ企画展があまりないので、急いで見ないとクリスマス過ぎたあたりから常設展のみの営業って所も多いですね。

というわけで、いつものCCGAです。

野田哲也さん。写真という、ある意味写実的にならざるを得ない素材を使いながら、それをシルクスクリーンを使用して版画化することにより、現実にはあり得ない、作者自身の「手」を加えることで、日常を切り取っただけの写真に、強いメッセージを残している作者さんです。
今回は「日記」というシリーズ。何気ない家族写真、風景写真を独特の手法で作品化しています。一見モノクロームな写真に見えますが(いや、写真なのは間違いないんだけど…)版を通すことによって、線のボカシ具合やかすれ具合が、まるでセピア色に変色した古い写真に見えます。
また、鉛筆や筆で効果を描き加えているので、精巧に描かれたデッサン画のような雰囲気を醸し出しています。

今回の展示では、成田へ向かうバスの中の風景画が印象に残りました。
高速道路。成田空港へのインターが近いことを示す看板。正面を向く運転手を後ろから捕らえた構図。何気なく見ると、正面のバックミラーが、野球帽を被った少年を写している。
モノクロだから定かではないけど、たぶん明るく晴れた午前中。飛行機に乗るのであろう作者と、たまたま居合わせた少年。そして職務を淡々とこなす運転手。
何気ない一瞬の当たり前の空間。でも、現在か未来。その時の自分は、その瞬間が大切だったと、何かに付け思い出すであろう記憶。日記。

作者さんにしかないオリジナルの表現方法で、一日一日を切り取る日記が、そのまま作品として広く親しまれ、それが、数々の作品賞を受賞しているなんて…。なんかすごく羨ましいですねぇ。



会場正面。この会場からちょっと山を登るとゴルフ場です。