ドーミエ版画展 福島県立美術館

annon2008-02-27

風刺の巨匠 ドーミエ版画展〜この世はいつでもてんやわんや〜
福島県立美術館 2月16日〜3月23日

今日は地元の美術館です。
19世紀のフランス。石版画の発明と共に新聞や雑誌など、世の中に政治や情勢を知らしめる媒体が誕生し、それとともに、当時の情景を面白おかしく表現する作家さんが誕生します。
おっと、昨日がドーミエさんの誕生日だったみたいです。惜しい!

19世紀フランスの画家オノレ・ドーミエ(1808〜1879)は、革命に揺れ激動を経ながらも近代都市へと変貌を続ける19世紀パリの社会に生きる人間の諸相を百科全書的なスケールをもって鋭く描き、今日、レアリスム絵画の先駆者であるとともにその代表的画家として高い評価を得ています。

  • 会場パンフレットより

新聞や雑誌に数多く掲載された絵は、現在の新聞に掲載されている一枚絵の漫画と全く同じ構造を持っています。
社会の風刺や、政治家や有名人を面白おかしくディフォルメして描き、庶民への政治への関心と、ちょっとした憂さ晴らしの機会を与えていますね。


(“当世代議士鑑41 ダンジョワ”という作品を勝手にイメージ。)
当時の政界や財界で活躍した人物を、頭部を極端に大きくした絵で描いたもの。性格が見えてきそうな表情と、服装をみていると、当時の人々の陰口が聞こえてきそうです。
なんだか、Dr.スランプ則巻千兵衛さんみたいだw

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(“展覧会の観客 ドーミエによるスケッチ”という作品を勝手にイメージ)
お客さん、もう5時だよ。展覧会は閉館だよ!ってキャプションに描いてあった。
閉館の時間まで…はないけど、展覧会場で眠ってしまったことはあるので、これはすごい可笑しい。

ドーミエは政治風刺だけではなく、当時のフランスの娯楽なども作品に残しています。鉄道の旅、劇場、船遊びなど。そして、人々の日常の風景も面白おかしく描写しています。なんだか、服装が違うだけで現代でも同じ事やっているなあ…と実感しましたね。

ただ、写真もなく、スケッチも許されない人物画を、取材のインタビューなどの同行だけで的確に描いてしまう写実眼は素晴らしく、多少の誇張はあるかも知れませんが、ものすごいリアルな描写は、雑誌の写真代わりというだけでなく、掲載記事への説得力を高める効果もあったのではないかな…と思いますね。