水戸芸術館

annon2009-03-18

企画展ツェ・スーメイ
2009年2月7日(土)〜5月10日(日)

ルクセンブルグ出身の新進気鋭作家ツェ・スーメイ(Tse Su-Mei、1973年生れ)の日本初の個展です。
彼女は2003年のベニスビエンナーレルクセンブルグ館に金獅子賞をもたらして以来、世界各地の個展や企画展に招待されている、今もっとも注目すべきアーティストです。
イギリス人ピアニストの母と中国人バイオリニストの父の間に生まれ、自身もチェロ奏者でもあるスーメイは、音楽や音、東西文化やアイデンティティをテーマとした作品を作っています。
本展は、こうした真摯なテーマを知的なユーモアを交えてスマートに表現した、ビデオインスタレーション、彫刻、写真などにより構成されます。
水戸芸術館ホームページより。

またまた水戸です。現代美術に特化し、その展示内容、展示方法が一種独特な水戸芸術館。今回は、ベニスビエンナーレでその名をとどろかせた気鋭の作家、ツェ・スーメイさんの展覧会です。自らチェロ奏者であるツェ・スーメイさんは、作品にも積極的に音楽を使用し、ビデオ作品や音を発生させるインスタレーションなどを発表しています。
映像作品が多いってのは見てて面白いし、入口が暗幕で遮られているので、「次の展示はなんだろう?」ってドキドキする感覚もあってとても楽しいんですが、映像作品が連続しているので、隣の展示の音が聞こえてきて若干気が削がれるのが難点かなあ。

んでは、いつもの勝手にイメージ

「Snowに関する1000の言葉」からイメージ。
長方形の床材の上に、スピーカーが3方向に向いて立っています。スピーカーからは、レコードの針を落とす最初の余白部分。演奏が始まる無音地帯のダストスクラッチが絶えず聞こえてきます。Snowとはその本来無音部分に聞こえてくる音。これから始まる何かを予感させるのか…。それとも、本来関心の得られない意味のない音が、なにか重要な意味を持たされているのか…。思考がぐるぐると回ります。

        • -


平均律クラヴィーア曲集」より勝手にイメージ。
指を、細く平たい板(棒アイスの棒のような感じ)で固定し、自由度を奪った上でバッハの曲を演奏するインスタレーション。その不自由さもありますが、練習してもなかなか超えられない壁を、不自由な指に込められているのかな〜とも思いました。

        • -


不眠症の治療」より勝手にイメージ。
壁に5匹の猫ちゃんの写真が大きく展示されており、それに対面するように木製の立方体が置かれています。立方体には音楽プレイヤーとヘッドホンが仕込まれており、そのヘッドホンをかけると、猫ちゃんの喉を鳴らす「ゴロゴロ」って音が聞こえてくるインスタレーション。それぞれの猫ちゃんの、個性あふれるゴロゴロ声が聞けます…が、タイトル通り不眠症の治療になるのかしら?なんか、音がでかいせいか、いびきの声にしか聞こえないんですけど…。
ただ、だんだん自分の喉の方がくすぐったくなってきました。

        • -


「通気口」から勝手にイメージ。
展示会場を遮るパーティションの両側にまたがって作られた造形作品。入り口に近い側には穴だけ。出口に近い側には、その穴から伸びる耳の形をした彫刻。空気の入れ替わりと、何かを聞き出そうとしている感じを伝えている…のかなあ?