第11回”T家の恐るべき子どもたち展”

annon2009-07-15

 東北生活文化大学生活美術科OB展

今年もT展にお邪魔しました。まあ、これがなければ麻生日出貴さんと出会うことも無かったでしょうし、芸術系学部のある大学の卒業生たちが、その後どのような活躍をしているのかを見られる良い機会です。
■会場内部■

ちなみにイラストは、千葉宏美さんの「頬にとけた雲」からの勝手にイメージ。
こちらが本物。

歯ブラシのような柄の上に、人生ゲームのコマのような人形が並んでいます。一人だけ、新たに仲間になろうとしているのか近づいて来ています。ストーリーを感じさせる構図ですし、なにより可愛い〜。

    • -

津田智美さんの「うたたねのシャツ」

ちょっとマンガチックな少女たちが、柔らかな描線で描かれています。ぎりぎりまで省略した体の線に対し、表情まわりの線が豊かなので、メリハリがきいています。ストレートに可愛いな〜って思えた作品です。

    • -

伊藤裕子さんの「サティー

カーテン生地のようなモノに、ちょっとグロテスクなキャラクターが針で刺されたり、糸で縛られたりしてます。その周辺にはまるで血がにじむかのように絵の具が広がっています。なんか、スリップというか、肌着につけられた、自傷行為の傷みたいに思えて興奮しました。(マテ

    • -

中村友香さんの「Bellis」

カエルなのに球体関節人形っ!いや、球体関節人形なのにカエルっ?倒錯感を通り越して、もともとこんな異形の生き物だったんじゃないかなとか思っちゃいました。

    • -

あれ、それで麻生さんはどこに?会場をグルッと一回りして、作品が見つけられなくて、「まあ、そろそろ出ようかな〜」とか思って入り口の方に歩いていたら、作品が見あたらないのに麻生さんの作品が閉じられたバインダーが足下に。
あれ、もしかして参考出展扱い?とか思ったら。

会場出たところでありましたよ。
なんか、去年もこんな感じだったような気がするんですが…。
前の大アクアトロン展で見た六芒星を持った子と、新作になるのかな、五芒星に乗った子が並んでいます。
青い背景から溶け出すように光る子が印象的。力強さとは違う、柔らかな暖かさがにじみ出すように広がっています。星に乗れたら、どんな世界が広がるんでしょうねぇ。

    • -

まあ、こんな感じだったんですが。
全体から見れば、なんというか。パンチが足りない…ような気がしました。
去年のT家展では、まだ驚きがあったんですが今回はちょっと。作品全体から見れば非常に高度で見応えも十分なんですが、まわりの変化、環境の変化に対して、アートの分野が非常に緩やかにしか変化していないように感じられました。
大量消費作品では無いので、消費者のニーズに答える必要は無いわけですが…いや、私自身が贅沢な意見を言っているだけかもしれません。
もちろん、たとえば一人の作家さんの個展を追いかけているのなら、その変化におもしろ味や驚きを得ることも出来ますが、このように複数参加型の展示だと、作者さん一人一人の変化を追い切れず「前にも見た」となってしまいがちなのかもしれません。


それよりもなによりも、隣の展示スペースでやっていた「CAF.N」展で、棚澤寛さんの本気が見れたのが良かった〜。ごらんの有様だよ!で手に入れた時からちゃんとした作品を見たかったんですが、思わず出会えて良かったです。すげー、なんか空も飛べそうな気がしてきたよ。