擬人化HTVで見る、超伝導サブミリ波リム放射サウンダ

擬人化HTV

前回のカナダアームで味をしめて、またやってしまいました擬人化HTVシリーズです。
HTV国際宇宙ステーションに運んだ物資のうち、曝露パレットと呼ばれる外部収納庫に収められた実験機器が無事、ISSの「きぼう」プラットホームに取り付けられました。これで、HTVが運んだ機材はほとんどISSに移され、与圧ブロックに納められた備品が順次運ばれるだけとなっています。
じゃあ、HTVは一体何を運んでいたといえば、「きぼう」に取り付けて実験を行う観測機器です。沿岸海域用ハイパースペクトル画像装置および大気圏/電離圏リモート探知システム実験装置と、超伝導サブミリ波リム放射サウンダです。はい。書いている本人も良く分かっていませんw
ハイパースペクトル画像装置は、その名称からなんとなく映像関係だと分かりますが…問題は「超伝導サブミリ波リム放射サウンダ」です。言葉の並びだけでは、何をする機械か分かりませんので、今回はこれを解説してみたいと思います。


超伝導サブミリ波リム放射サウンダ
「Superconducting Submilimeter-Wave Limb-Emission Sounder」略してSMILESと呼ばれる実験装置。これは何かというと、大気圏内にある微量な粒子が発するサブミリ信号というものをキャッチし、粒子の数や特性を調べることによって、オゾン層の状態や、オゾン層を破壊する成分の存在を観測する装置です。

全部解説すると、えらいたくさんのパーツになってしまうのでかいつまんで。

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サブミリ波アンテナ。
観測機器の始発点に当たる娘です。この娘が大気成分が発生するサブミリ波をキャッチし、機体内部へ送る仕事をしています。

超伝導サブミリ波リム放射サウンダは、地球の大気、上空すれすれの周縁部分(リム)を観測しています。微量分子が発生するサブミリ波はそれぞれ違うため、きちんと分類できれば種類や分布を調べることができます。

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超伝導ミクサ。
サブミリ波アンテナが集めたサブミリ波を拾い集める娘です。高純度で検出されたデータは、この後観測しやすいように、分光スペクトルという形に変換され、データとして地上に送られます。
なお、実際の形はこんな感じ。

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4K級機械式冷凍機
超伝導ミクサがきちんと仕事をするように、絶対温度ケルビン(摂氏 -269度)まで冷却する装置です。極低温でしか仕事をしない超伝導ミクサのために、ぶっ壊れるまで冷気を作り続けます。

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彼女達は、国際宇宙ステーション、きぼうプラットホーム上で、地球の大気を観察します。オゾン層を破壊する物質の調査と、その密度や分布を調べ、オゾン層破壊のメカニズムを解き明かすのが仕事です。この調査をもとに、将来オゾン層がどのように変化するのか、その未来予測を行います。


あ〜、自分でもあまりよく分かっていません。ツッコミがあったらコメントくださいw
それにしても、本来なら人工衛星として観測にあたる機器を、「きぼう」プラットホームに取り付けて運行するって仕組みはよくできていますよね。電源はISSからもらうことができるし、観測データを地上に送ることもISSの機器で行えます。さらに、手の届くところに宇宙飛行士がいるって状況ですから、その機器にトラブルがあっても、状況の確認や、場合によっては修理ができるってことですよね。
今までだったら、トラブルがあった機体は大気圏内に捨てたり、そのままデブリ化していたわけですから、運用のコストも下がり、信頼性も増していくのでしょう。きぼうが行う実験はまだまだこれからですが、今後が楽しみになってきました。

JAXAホームページ内のSMILES関連ページ
SMILESを運用する独立行政法人、情報通信研究機構のページ

ついでにピクシブ版を貼り