水戸芸術館 「人間の未来へ/ダークサイドからの逃走展」

入り口前

茨城県水戸市五軒町 1-6-8
公式サイト:http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html

繰り返す戦争の悲劇、その心の内。誰にでもあるダークサイドを芸術の点から見つめ返そうと、写真作家、造形作家、映像作家、詩人。それぞれの表現方法で戦争を捕らえようとする展示会。澄み切った青空の下、興味本位でイラストまで掲げてやってきたわけですが、心に響きまくった一日でした。

核の脅威。その爆心の写真。マイケル・ライトさんの写真達。
太陽の中心の何百倍もある強烈な熱と光。その閃光。巻き上げられる水蒸気。それは死と結びついているにもかかわらず、とにかく美しい。もちろん、これらの事を肯定する気はさらさらないが、マークライトさん本人も語る通り、「爆弾は本来美しいものなのだ」。私もそう思いましたし、だからこそ、恐怖も感じます。

1945年から1998年までの間。その間、1ヶ月を1秒と換算し、15分の間に世界中で起こされた核実験の様子を、世界地図上に、音と光点で表現する橋本公さんの作品。
東と西で交互に繰り返される光点。あまりの数に音が追いつけずハウリングまで起こす様は驚愕であり、その実験で巻き起こされただろう放射性物質の事を考えると恐怖よりも人類に呆れます。

そして、オノ・ヨーコさんのオブジェと詩。
自由に声を上げられる国に生まれているのに、果たして自分は声を上げられているのだろうか。上げる事はできるのだろうか。「今こそ、その時」と語るオノ・ヨーコさんの言葉に、涙があふれてきます。

人類の未来が、いつまでもダークサイドから逃走し続けないよう。その心の反面を受け止めつつも、自分と異なる他と、上手につきあえる未来を。この安全な空の下から祈ります。
そして、このように考える機会を与えてくれた、今回の展示会スタッフの皆さんに心から感謝いたします。



感謝ついでに。

水戸から郡山まで、3時間強の旅のお供となった水郡線車両。ありがとうね。