YOSHITOMO NARA + graf A to Z

AtoZ正面

吉井酒造煉瓦倉庫(青森県弘前市吉野町2-1)
公式サイト http://a-to-z.heteml.jp/modules/news/

さて、いよいよAtoZです…が、会場が10時からなので、先に弘前城に行って来ました。まあ、せっかく遠出してきたんだし、いろいろ見ておかないと損した気分です。

次に「まちなか情報センター」に寄り、チケットの購入。ここには先だって開催された「ねぷた祭り」に登場した「ならねぷた」が展示してありました。

そしていよいよ会場入りです。会場となる吉井酒造煉瓦倉庫は、その名の通り、林檎酒(シードル)を醸造する酒造所だった場所です。くすんだ赤煉瓦の建物は、それだけで存在感があります。

会場前、会場の壁には大きなAtoZの文字が並べられています。

会場の中は…こればっかりは撮影禁止だったこともあり、言葉でうまく伝えられない部分が大きいのですが、私の思ったところでは、開拓時代のアメリカ西部のような、バラックが建ち並び、ある意味、ちょっと下品な色彩や証明が描かれています。その中にちりばめられているのが奈良さんの作品なので、こう、何というか「ひねくれた開放感」というか…「見るならどうぞ、その代わりほっといてくれ〜」感が漂うみょーな雰囲気です。

個人的な感想で言えば…ある意味下世話な空間(とはいえ、作品としては非常に完成しているし、コンセプトも優れている)であったし、人もたくさんいたため、作品一つ一つをじっくり見て、想いを馳せることはできず、基本的に流し見になってしまいます。
つーか、今回ばかりは見方を間違ったなー。この空間は、知り合い数人でワイワイ言いながら見る空間ですなあ。一人で黙々と見るにはむなしいです。これからここを訪れる方は、是非、友達数人でお越しいただくと良いと思いますよ。

更に絵の感想。
最近の奈良さんの絵をみて感じるのですが、キャラクターを正面から描いている絵を多く見かけます。その絵は…こう、「女の子が、こちらに対して、なにかアクションを起こす一歩前」そんな印象を受けます。

今までの奈良さんの絵は、絵の方からこちらの存在を断ち切っている。両者の存在の違い、大人と子供の境界線から、「わたしはあなたの庇護を受けているけど、わたしの事は、ほおっておいてください」って感じの、ある種拒絶感を感じるのです。

ただ、最近の絵はこちらを正面から見つめたり、たたずんでいたりして、まるで何か…たとえるなら「後ろ手にプレゼントを隠して、それを渡す一歩手前」とか「何かその子に取って重要な提案を(それが受け手側にとっては些細な事でも)これからあなたに話します…の一歩前」のような。
今までの絵がすでに停滞していることに対して、最近の絵は、これから何かが始まる…。まさにスタートの絵になっていると感じます。

「ねえ、話したいことがあるの」「ねえ、渡したいものがあるの」「ねえ、して欲しいことがあるの」「ねえ、そこにいてほしいの」という、信頼によって成り立つ提案。
更に言うなら「わたしがこれから言うこと(すること)は、もう分かっているんでしょ?」といった信頼の確認

それは、絵から受け手側に対する信頼関係。真摯に見つめている、たたずんでいるその子に対し、受け手側も真摯にその意見、提案、アクションに対応しなければいけないという義務感…いや義務ではなく、信頼に応えるべきこちらが提供するのは、ある意味、無償の愛のような。

そういう感じ方をしてしまうので、もっと静かなところで、1対1で、その、くすぐったい幼稚な信頼関係を感じていたい…。だから、今回のにぎやかなところでの展示に違和感を覚えてしまうのです。

そんなこんなで、会場を後にしました。10時から入って2時頃まで。もう少し見ていたい気もしたのですが、展示スペース上、後戻りがしづらいので、進んでしまったら出口を目指します。特に、1階部分と、その奥に続く2階へのルートは、ほぼ隔離されているので、1階を十分堪能してから2階に上がることをおすすめします。
また、会場内にトイレはなく、トイレはチケットセンターをくぐった後、敷地内の外側にあるため、会場内からトイレに抜けるのは結構大変かもしれませんので、会場入りする前にすますことをお勧めします。
なお、チケットセンターをくぐった後のため、いったん出口から外にでると会場のトイレは使用できませんのでご注意。(入口から逆流してトイレに向かうのはOKらしいです。基本的に再入場はトイレ使用時のみとのことでした。)


開場出口付近。自由に描いていい黒板があったので落書き



オマケ
その日の夕食は居酒屋さんです。それも三味線の聞ける居酒屋さんです。

ライブハウス山唄 弘前市大町1-2-4
http://www001.upp.so-net.ne.jp/ryuken/yamauta.html
やはり青森県ですから、津軽三味線を聞かないと始まりませんねぇ。ここでは1日2回のライブ演奏を聴きながらお酒の飲める空間になっています。

三味線はそもそもは弦楽器なのですが、バチさばきの部分だけ見ていると打楽器の用です。一つの楽器で異なる音の出し方を演出できる…何となく、前に聞いたスクウェアバスリコーダーを思い出してしまいました。