文化庁メディア芸術祭

会場入り口前

平成19年2月24日(土)〜3月4日(日)
東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内)
公式サイト:http://plaza.bunka.go.jp/festival.html

メディアアートという新しい表現方法をもって、開拓、創造された作品を鑑賞、表彰する展示会。今回で第10回開催となります。
私自身去年に引き続いて2回目の訪問になりました。


会場2階

こちらでは、メディアの力で広く人々に伝えられた作品、おもにアニメーション、マンガ、ゲーム、インターネット作品などの作品が展示されています。
それぞれの作品は、各部門、何らかの賞を受賞しており、それらの発表を兼ねています。
受賞作品は、マンガなら実際に手に取れ、読めるようになっていますし、映像作品はプロジェクターや液晶モニターで放映しています。

アニメーション部門では、映画「時をかける少女」が大賞
…ああ、そういえば、見よう見ようと思っていたのに見逃していました…。会場で、映画予告のプレビュー映像は流れていましたが、見ていないので感想はなし。
来月にはDVDリリースの予定ですし、チェックしとこう。
時をかける少女 限定版 [DVD]
太陽の黙示録 (vol.1) (ビッグコミックス)

マンガ部門は、かわぐちかいじさんの「太陽の黙示録
うう、こちらもチェックしてない。ジパングの方は見ていたんですがねぇ。

とはいえ、マンガやアニメーションは、自宅でも見ることの出来る作品ですし、わざわざ会場に来てまで見るものでもないかな〜と。マンガのブースなんかは、書店の平積みコーナーに、立ち読みで群がっているようにしか見えません。(汗)
そんなところで何をしていたかというと…、エンターテインメント部門でノミネートされた「やわらか戦車」を最後まで見ていました。テーマソングが頭をリフレインします〜。

会場、特に面白かったのは、勝本雄一朗さんの作品「雨刀」。駅とか、コンビニで売っているようなビニール傘を振り回している青年がいるなあ〜とか思っていたら、その傘が、特撮やゲームの効果音のような打撃音を振りまいている!
なんでも、ふつーのビニール傘に加速度センサーを取付け、その振り具合で音を変化させるとの事。さらに、コマンド技(!)まであって、振り方の組み合わせで、必殺技の効果音が出せるという…ものすごいバカバカしいんだけど、そんな発想をまじめに作り上げた心意気に笑います。なんていうか、いい意味で技術の無駄遣いって感じで。


会場3階

こちらは、アート作品。分類としては現代美術。それも電源使用系のものになります。
どちらかというとテクノロジーの発表という側面が強く、プログラムによって自動的に描画される粒子の流れ…なんて作品もあって、ちょっと敷居が高い雰囲気もあります。

同じような雰囲気で、会場地下1階には「先端技術ショーケース」という展示もあり、こちらはもっとテクノロジー寄りで、最先端の科学で、アート的な作品を生み出す実験的な展示をしていました。

う〜ん、こちらはちょっと難解です。使われている技術がすごいのはよくわかるんですが、なんていうか…萌えがない?
うまくいえないのですが、凄いと素敵の違いのような。凄いのはよくわかるんですが、感動するというところまで持っていけない気がしました。

今回は、テーマシンポジウム「アートとテクノロジーの出会いが独創を呼ぶ」というのにも視聴。
芸術だけではなく、技術的側面から新しい創造物を生み出す。それをもっと若い世代から準備をしていく。特に図画工作の分野を充実させ、未来の芸術家、技術者を育てていこうという内容のパネルディスカッション。
この中で、アートという名前は、日本と西洋では考え方が違う。
そして。アートとテクノロジーでは作品に対するスタンスが違うとの話があり。

たとえば、テクノロジーは、どうしたら不特定多数の人に使いやすいデバイス(入力装置という意味でいいですよね)を生み出せるかという問題提起から、超小型デバイスの作成、その方向性の進歩という流れ。
医者というスタンス。何かを鑑賞し、問題を洗い、結論を導く。

それに対して、アートは、自分の中の、なんだかわかんないもの。それを人に見せたくてのた打ち回っている。
患者というスタンス。なんだか判らないけど、自分の中に問題となる因子がある。「先生、これ見てくださいよ。」

そして、作品を見る立場、鑑賞者は、ほとんど医者の視点で作品を鑑賞、批評しているという話。

…。こんな面白い話になるのがわかっていたのなら、しっかりメモを取っておけばよかった。ちょっと後悔。パネリストたちの掛け合いが面白くて、高度な内容の応酬なのに、笑ってばかりでした。


なんかこう、作品よりも、こうやって関わった人のお話を聞くほうが、作品そのものよりも面白いなあ…と感じました。パネリストの方も言っていましたが、「こういうのは作っている過程の方が、展示している物よりも、楽しいでしょ?」
ごもっともです!