金沢21世紀美術館

annon2007-03-14

石川県金沢市広坂1丁目2番1号
美術館サイト http://www.kanazawa21.jp/
当日(14日)の展示内容

(有料展示ゾーン)
奈良美智展「Moonlight Serenade -月夜曲」
 ※Dog.o.rama、スタジオカフェYngm:Kは無料展示
リアル・ユートピア〜無限の物語展
コレクション展Ⅱ
(無料展示ゾーン)
怪獣と20世紀の夢
WORKS金沢卯辰山工芸工房研修者作品展
第32回松映水墨画塾作品展

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さて、金沢なんですが…。使った交通手段が夜行バスだけあって、到着時間が定刻通り6時15分。まあ、はっきり言ってコンビニくらいしか開いてません。
とりあえず、美術館開館までの時間をつぶそうとブラブラ歩いてみることにしました。
んで、金沢城兼六園ですよ。


さすがに有料施設は開いてませんでしたが、中を見ることはできました。
ただ、ひ、広いっ!なんかもう、美術館に入る前にクタクタになりそうです。

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開館時間を見計らって美術館です。兼六園と目と鼻の先にあります。美術館が本来の目的でない人にも入りやすい距離じゃないかな。
巨大な円形の建物から、丸柱や立方体がにょきにょき突き出たような形。円形部分はガラス張りになっています。
にょきにょき出ている円柱や立方体それぞれが、独立した展示室となっています。作品の状態や展示内容に合わせて部屋を選ぶ構造。それぞれの部屋は内部でつながっていますが、わざとガラスのパーティションで分けて順路を造っています。
それら展示室は中央に集められ、それ以外の円形部分や、市民ギャラリーとなる東側のブロック、建物の一部として恒久的な展示作品となる「タレルの部屋」などは無料スペースとして機能しています。
無料で公開している展示内容も多く、今回の目的だった奈良美智さんのスペースも、ほとんどが無料展示ゾーンにあります。

この美術館の面白いところは、作品の一部に写真撮影可能なものがあること。フラッシュ禁止などの制約はありますが、美術館で写真撮影を許可しているところって少ないんじゃないかな。

さて、むろん無料展示のみを見に来たのではありません。まずは有料展示ゾーンから入ってみることにしました。

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リアル・ユートピア〜無限の物語展

そこに作品として存在するにも関わらず、何か異質な物。時間や空間を飛び、私たちの感性さえも超越したリアルとその境界線。
そのあやうい現実と非現実の境を4人の作家たちの作品を通して問い掛ける展示会。

ドローイングと立体作品で、奇妙な生物…いびつなつぎはぎだらけの生き物に触手をプラスしたような、イ・ブルさんの作品
バラバラに切り取った時計を貼り合わせたり、展示パンフレットの表紙にもなった、サッカーボールの頭を持つ赤ん坊など、木村太陽さんの作品。
バッタなどの昆虫や、恐竜、ホワイトマウンテンゴリラなどの描写から社会批判を絵画によって行う、岸本清子さんの作品
そして、やっぱり一番ストレートにいろんな意味でビックリしたのは、やっぱり草間彌生さんの作品でした。
昔、森美術館で作品を見ていたので、ある程度覚悟していたのですが、覚悟を裏切らないハジケっぷりでしたね。
難解な現代美術作品の中で、難解なのにも関わらず、ストレートに視覚に問い掛けてくる展示のテクニックは流石です。

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コレクション展Ⅱ
もう一つの有料展示ゾーン。ただしリアル・ユートピア展のチケットを持っていると、こちらの展示ゾーンにも入れます。奈良さんの作品の一つがこちらにありました。
こちらは、他の美術館で言うところの常設展なのでしょう。この美術館の収蔵作品が並べられています。…。並べられていますが…う〜む、コッチは遙かに難解な物ばかりだなあ。
とりあえず、レアンドロのプールは体験するべきでしょう。水の中にいる時より、上からのぞき込んでいる方が楽しかったですけど。


Voyage of the Moon 展示室13
ちなみに、これは会場内の写真ではありません。

会場は写真撮影禁止でした。展示告知スペースにあるポスターを撮ったものです。

graf作品と言ってもいい、廃材を利用した小さな小屋。今回の小屋は、壁や屋根がしっかりしており、特になだらかな曲線を描く屋根が、小屋本体の可愛らしさを強調しています。
そして、さらにその屋根に、巨大な顔が!
顔といっても、なんだろ?ミカンの皮を被ったような?奈良さんの絵の子がどーんと乗っかっています。
展示スペース全体は薄暗く照明が落とされ、天上から垂れ下がる何本かの白熱電球の明かりでほのかに照らされています。
そして、天上からは、弘前での展示でもあった、金色のきらきら光る星がぶら下げられています。

小屋のなかは、いつもの、奈良さんの作品制作現場をモチーフとしたレイアウトになっており、描きかけの作品、壁に掛かる小さな作品たち。批判する過激な文章、画材などが乱雑に並べられています。

会場の壁には、奈良さんが良く描いていた、巨大なお皿をキャンバスにした絵。こちらは子供の顔だけでしたが…髪の毛が、なんだか柔らかそうにカールしていて、奈良さんの絵では珍しい髪だなあ〜なんて思いました。

なんだか、今までよりもメルヘンチックな感じです。荒々しさや、とげとげしさが薄くなっているような感じがします。並べられた作品には、ある意味ロックな雰囲気を持たせているものも多いのですが、全体として、なにか柔らかい空間に包み込まれているような感じですね。
とげとげしさを内包する優しさ…そんな雰囲気を持った作品でした。

無料展示ゾーン、「Dog.o.rama」には、一番最初にアップしてある写真の通り、大きな犬のぬいぐるみが横たわっていて、その体の中には、子供たちの着古しの洋服が詰まっています。最初、胴体部分がスカスカだったのですが、少しづつ詰め物が増えていって、私が見に行った時には完成していました。

もう一つ、目玉は「スタジオカフェYngm:K」
こちらは、完全に美術館の外、プロジェクト工房にあります。
中は、全体の3分の1がgraf制作の廃材カフェ。実際に飲み物や、軽食を楽しめます。後の残りは、奈良さんのアトリエ。会期中、ほぼ毎日、このプロジェクト工房で作品制作を行っています。創作活動は夜とのことなので、実際の活動を見ることは出来ないのですが、コーヒーの飲み残しがあったり、空き缶が転がっていたり、ラジカセがつながっていたり、描きかけの絵や画材が並べられていたりと、前の晩、奈良さんの活動そのままの現場が残っています。
カフェの人は、「毎日、描きかけの絵が変わっていきます。描き上がった目が次の日には閉じていたり、髪型が変わったりしてますけど」なんて言っていました。となると、実際私が見た描きかけの絵も、完成したとき、全く違う絵になっているかもしれませんねぇ。
カフェから見た、アトリエ

私が注文したカプチーノ

ynは、奈良さんの頭文字。gmはgrafを現し、Kは金沢を意味しているそうです。ちょっとシャレが効いているカプチーノ。飲んで文字を崩してしまうのがもったいない感じでした。