地中美術館、ベネッセアートサイト直島、家プロジェクト。

annon2008-08-24


おはようございます。朝6時現在、倉敷は、ちょっと雲が多めですがまずまずの天気です。これから直島行きのフェリー港がある宇野に向かいます。

6時30分発普通姫路行き
7時11分快速マリンライナー7号高松行き
7時29分発普通宇野行き

8時22分発四国汽船フェリーなおしま号乗船。約20分の船旅になります。とはいえ、港から島がもう見えているのでほんとあっと言う間につきますよ。
海の駅なおしま、カフェにてレンタサイクルを借ります。周回バスは逐次出ていますが、そんな大きな島じゃないし、自転車でものんびり行けるでしょう。
あ、海の駅で「旅の美術館手帳」を貰っておくのをお忘れなく。香川・瀬戸内の美術館を巡るスタンプラリーで、2回目以降訪問の美術館が割引になります。直島での3つのアートスポットが対象になっていますよ。


さて…自転車でも楽勝だぜ〜と思ったのは最初の5分だけでしたっ!最初の目的地、地中美術館は島の南側高台の真上にあり、いきなり立ちこぎでも進まんくらいの斜面がっ。ヒーコラ言いながら登りましたよ。
しかもこの自転車、変速ギアが付いてねぇ!
(…。実はこのヒーコラはまだまだ続くのです…)

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え〜以降ネタバレがあります。作品に新鮮な驚きを求めたい方はみない方が無難です。


地中美術館
自然と人間の関係を考える美術館として、設計安藤忠雄を迎え施設そのものを意味のあるアート作品とし、ウォルター・デ・マリア、ジェームス・タレル、クロード・モネの作品を恒久的に展示することを目的とした美術館。作品の全てが地中にあり、採光のための天窓と、カフェのテラス以外は地面から見えていません。

タレルは金沢以来作品を見るのは2回目でした。そういう意味では21世紀美術館とほぼ同じ設計思想の「オープン・スカイ」はあまり驚かなかったな〜。
(オープン・スカイは美術館の天井に四角く切り抜いた窓を作り、刻々と変化する空の様子をまるで額にいれた絵画作品のように鑑賞するもの。)
でも、次に案内された「オープンフィールド」は度肝を抜かれたなあ。壁に平面の長方形が青紫の単色で描かれている…と思ったら、「どうぞ、中に入ってください」だって。えっ!これ、奥に空間があるの?てっきり平面だと思っていたのに。

おそるおそる足を踏み入れると、まるで2次元の世界に足を踏み入れているようでした。「ちょっと2次元に行ってくる!」
20歩くらい進んだでしょうかね。案内の人に、ここで立ち止まって鑑賞するようにいわれました。中も四角い箱状の空間。先に向かって緩やかに傾斜しているので奥は入り口側よりも広いのでしょう。振り返ると入ってきた四角い窓の周辺に青いネオン管の明かりがアーチ状に輝いています。
正面は四角い壁。あれ、この壁も発光しているように見えますが…。
「部屋の明かりは後ろ側の明かりだけで照らされています。正面には明かりはありません。」
ふんふん、なるほど。
「ですが正面にある壁は実は目の錯覚で本当はもっと広い空間なんです。」
な、なんだってーっ!あと5、6歩も進めば行き止まりに見えているのにっ!目の錯覚〜?
ってか、この話、最初見たときには説明無しですよ。たまたまもう一度見ようと思って入ったときにたまたま聞いた話です。うわ、聞いて良かった〜。この話が聞けたから、この作品がさらに不思議なものになりましたよ。

ちなみに、あと何m続いてるんですかって聞いてみたら…
「それはお客様のご想像にお任せします」だって。

一通りの作品を見て、カフェで一息する事に。アイスコーヒーとケーキを頂いてテラス席へ。
うわ、なにこれ、もんのすごい良いロケーションじゃないですかっ!鋭角に切り立った崖の上にテラス席があります。見渡す限りの瀬戸内海。視線の先には四国の山々。行き交う船々。くあ〜何でカメラ預けなければならなかったんだ〜この風景撮るだけならいいでしょーが。
パラソルの間から差し込む日の光に肌をジリジリ焼かれながらも、なかなか立ち上がれない景色でしたね。

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さーて次はベネッセハウスだ〜。自転車に颯爽とまたがり軽快にペダルを踏んでいくと…。
「ベネッセハウス方面この先の道路は自転車通行できません」って警備の人から言われた…。
この先の敷地は宿泊者専用に設定されているため車は入れず、かといって駐輪場もありません。この先の海水浴のできるビーチ、「直島ふるさと海の家つつじ荘」まで降りれば自転車を止める場所があるそうです。
りょーかい。先に行ってみましょう。


くあ、なんだこれ〜ヒルクライム競技かっ?立ちこぎでも進まない急斜面のつづら折りです。ベネッセの施設自体が山の斜面に隠れるように、そうプライベートビーチのようになっているため、一般の車は山を大きく迂回するしかないようです。ひえーっここんところ運動不足だったんで太股が悲鳴を上げています〜。

海岸からこの高さまで自転車で上がります…。

山をブーメランのように放物線を描きながら登った先は…同じように急な下りがっ!レンタサイクル頑張れっおまえのキーキーうるさいブレーキだけが頼りだ〜下までもってください〜。

ふえ〜ふえ〜。もう生きた心地がしません。(泣)
こうなったら豪華なランチを食べて割を合わしちゃる。

ベネッセハウス敷地内テラスレストラン。サマーランチバイキング。
ちょっと格調高いレストランでセレブ気分。料理を取り分けながらも、その料理の内容をキチンと説明いだだいたりして、その至れり尽くせりさに気分も盛り上がります。お魚料理は今日直島で穫れた魚(魚の種類は忘れた…)のエスカベッシュも。
さらに3種類のパスタから1品を選ぶことも。今回はパセリとジャガイモのパスタをえらんでみました。
では、もうしわけないですが…いただきま〜す!

こちらはテラス席

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さて、ベネッセハウスミュージアムですが…お腹いっぱいで幸せだからもういいや。w
…いや、せっかく来たんだから見に行ってみましょう。
安藤忠雄さんの設計。こちらも地中美術館と同様施設のほとんどを地下に沈めた設計になっています。作品は、現代美術オンリーなんですが…分からんw。地中美術館がその作品のスケールで有無を言わせぬ説得力をもって迫ってくるのに対し、展示できる大きさの現代美術作品は難解でわかりにくく、かといってすごく美しいわけではないので、まあ、流し見に留めました。理解できんもん。床一面にウルトラマンのフィギュアが万歳して立っている作品なんて!
ミュージアム周辺の景色

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ミュージアムを後にして、またヒーコラ自転車の旅です。小さい島だからこそアップダウンが多いのは当然です。気が付かない私が悪いっ

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島の東側、木村エリア。こちらは古民家を改装してそれぞれが現代アートの展示の場として再生する「家プロジェクト」が点在しているエリアです。

実はエリアに入る際に迷ってしまいまして。通ってきた道の先に木村港があって、本来なら港に入る前に内陸方面に曲がらなければならないんですが、「うわ〜うわ〜港だ〜!漁船だ〜!」なんて妙にハシャいでしまい、どんどん先に進んでしもた。
そんな訳でなんだか迷走してしまい、気が付いたら海側から一番遠い家プロジェクト、「はいしゃ」に到着。
とりあえず一通り見るつもりだったので共通チケットを購入するするためスタッフの方に声をかけると…。
「家プロジェクトの1つ石橋は工事中のため見れませんよ。」
ふむふむ、全部見れる訳じゃないけど共通券で良いですか?ってことね。
「南寺はそろそろ本日分の整理券の発行が終了しますよ。」
なんだってーっ!まだ3時過ぎじゃないですか。りょーかいです。スタッフさんから共通チケットを買って、そのまま南寺に向かってみます。それ以外の施設は4時30分まで空いているそうなので。

…。
「本日の整理券発行は終了しました。」
ガーンっ!

…。し、しかたがないわね、あんたのためなんかでわざわざ来た訳じゃないのよっ!(ツンデレ
次だ次!
木村エリア中央部、角屋にやってきました。ぱっと見、かなり年季の入ったふつーの民家です。案内されて中に入ってみると。

すごいすごい!宮島達男さんのデジタルカウンターだあ。
8畳くらいの板間の中央が四角く切り取られ、水がたたえられています。その水の中にデジタルカウンターが沈められています。木村に住まわれている方一人一人にカウンターの点滅速度を決めて貰ったという「Sea of Time '98(時の海 '98)」は家プロジェクト第一号作品として、町の人と現代アートをつなぐ架け橋となった作品です。
揺らめく水面のなか規則正しい点滅を繰り返すデジタルカウンター。それは町の人の命そのものです。
もう感動して正座しながら見てましたよー。
ここのスタッフの方は町に住んでいる方なのかな。
「この家の屋根瓦にある紋はみつどもえと言いまして水を意味する火事除けのお守りです。家の一番高いところに水を置けば火事にならないという事で平安の頃から使われた紋です」
へぇ〜。すごい勉強になりました。

山のすそをめぐって階段を上り、護王神社へ。山の頂に設置された社。その社からは光学ガラスで作られた階段がまるで氷のように置かれています。この階段は地上をつきぬけ地下まで降りており、少し下がった場所からトンネルを通り、中を見ることができます。
これって、昔森美術館かどこかでミニチュアを見た記憶があります。そうか、あれの本物がコレか。あのときの地下空間は、まんま高層ビルの窓に伸び、階段は都会の空に浮かび上がっていましたが、こちらは幻想的な地下空間。清楚な空気の只中で、地上の光を受けることなく、透明な階段が地下から地上へと伸びています。さながら、地下世界から地上世界への秘密の出入り口のように…。
アート作品をこうして見ていると、時々前に行った事のある作品に関連した、新しい作品に出会う事があります。護王神社しかり、角屋のデジタルカウンターしかり。そのシーン、作品は少々違っていますが、作者の思いが感じられる瞬間です。

作品を写真に撮っちゃいけないので、木村エリア周辺の写真。

さて、今度は島の中央部を西へ突っ切り、港への直行ルートで帰ってきます。しかし、なんて体育会系のノリだ今日の旅は!誰だ、島を自転車でのんびり巡ろうなんて考えたやつは!…私だw。たぶん明日明後日は筋肉痛に悩ませる事でしょう。

でもでも。さようなら直島。アートに包まれた町。理解されにくい現代美術と、島の人々との共存がもたらした新しい名所。今日は、本当に楽しかったです。