ポニョが生まれた町、鞆の浦方面へ。

annon2008-08-25

宮崎駿が、過去に社員旅行で訪れた鞆の浦を気に入り、2005年春、一軒家を借り切って2ヶ月間滞在し、自炊生活をしながら散策する毎日をおくり、『崖の上のポニョ』として映画化を決定。2006年夏、更に単身、鞆の浦にこもって構想を練り、『ハウルの動く城』以来の劇場公開作として2008年夏公開。
・ウィキペディア鞆の浦より。

しまなみ海道も考えたんですが、やっぱりこちら、鞆の浦に向かってみます。


山陽本線に乗って福山駅
福山駅から鞆鉄バス乗車。だいたい15分間隔で出てます。鞆の浦までは約20分。ちなみに、「ともてつバスセンター」がある停車場の名前が「鞆の浦」。終点は「鞆港」となります。鞆の浦鞆港の間は2キロメートルくらいなので、情報収集に立ち寄って、歩いて移動しても大丈夫です。
鞆の浦を紹介しているホームページはこちら。地図もあります。
土日には、町に住まわれている方が、ボランティアで観光案内をしてくれるそうです。
また、平日月曜日は閉店になる店もあり、中央部にある鞆の浦歴史民俗資料館も休みなので注意が必要です。
はい。今日は月曜日です。注意が必要なのは私だ!(笑)

鞆の浦は古くから潮待ちの港として、国内外の船による交易の拠点として栄えた町です。

鞆の港
瀬戸内の中央に位置する鞆は内海の分岐線にあたる。
内海を航行する多くの船はこの潮に乗っての航法であったので“潮待ち”をここ鞆でおこなった。こうしたことが、多くの伝説を生み万葉に歌われ、中世から近世にかけて歴史上の舞台として度々登場したゆえんである。
・常夜燈付近の桟橋に通じる道にあった案内板より抜粋。探してみよう!


とりあえず「ともてつバスセンター」に併設されている鞆の浦観光情報センターで地図とか情報を集めます。このバスセンターの中がポニョ祭り状態でCDはかかっているし、手書きの案内図は貼ってあるしでにぎやかでした。手書きの案内図には宮崎監督がよく訪れた店や、埠頭で牛乳飲んでたなんて目撃例(?)も書き込まれていてとってもユニークです。



じゃあ町の中は〜というとほとんど宣伝らしい宣伝は行っておらず(映画のポスターが貼ってあるくらい)、うっかりするとポニョの話題に触れぬまま通り過ぎてしまいそうです。ほんとに素朴で静かな港町です。

        • -

下の写真は県営桟橋側。鞆港東側になります。この裏手に、松尾芭蕉の歌碑がある円福寺があります。

中程に見えるのがシンボルの「常夜燈」

県営桟橋をさらに奥に行くとお狐様の社が。(あれ、入っちゃいけなかったのかな?)

案内図によると、この港から円福寺の間あたりに宮崎駿監督の住んでた家があったみたいなんですが…よくわからず。
円福寺が、ちょうど高台にあって、この付近の民家が階段で上に登らないとならない造りになっています。何気なく階段を上っていくと、飼い犬にものすごい剣幕で吠えられたり、たまたま通りがかった猫ちゃんが、えらい勢いで逃げてって、そのまま崖から転落してしまいそうな物音が聞こえたりします。(ゴメン…)
円福寺からは、木が邪魔してあまり港の方向は見えませんでした。でも、お参りして行ってみます。
円福寺境内から見る鞆港

        • -

港を見下ろす西側の高台に建つ医王寺からの風景が良すぎで、腰を据えるともう立ち上がれません。蝉の声、鳥のさえずり、漁船のエンジン音。すべてが違う時間の流れにそって歩んでいるようで、ほんと時間を忘れます。

この医王寺の、鐘突き堂の前でのんびりしていたら、同じ旅行者で、静岡から来たって男性の方とお会いしました。話をして…といっても、「いや〜帰りたくないですねぇ〜」なんて言葉ばかり出てきましたけどね。
鞆港をバックにお互いに記念写真を撮ってお別れです。
…まあ、私はまだ時間があるのでもう少しこのまま座っていたら、お墓参りに来ていたお母さんと小学生くらいの女の子の2人づれ。女の子が急にこちらにきて
「鐘突いていいですか!!」
えっ!ちょっと待って、勝手に突いて良いもんなの!?
なんかこちらがワタワタしている間に、ゴーーーーーン!!とやらかしてくれました。

        • -

医王寺からさらに高台へ。
石段のある参道…とはいえ、かなり急な階段です。つづら折りになっている道をヒーコラ歩いていきます。途中、上から下りてきた女性の方に「今、どのくらいですかっ!半分まで来てますか!」なんて聞いてみたり。

ああ、なんかここまで上ると、ポニョの舞台だな〜なんて感慨もひとしおですね。遠くに見える仙酔島。間にある弁天島がまるで陸続きのように見えて、一つの大きな舞台のようです。
ひとしきり堪能したら降りてみましょう。ここは小さな社いがいは何もないスペースです。

寺から町にのびる参道

        • -

江戸時代の港湾施設である「常夜燈」のある埠頭と、その埠頭へ向かう細い路地は、この町の観光スポットの中心です。

    • -

細い路地の中程、狭い路地を歩いていると乾物屋「けんちゃんのいりこ屋」さんのおばちゃんに声をかけられて店の中を覗いてみることに。

めずらしいイカの干物があって試食してみたら噛むほどに味が染み出してくるとってもおいしいもの。せっかくだから何個か買っていこうと思っていたんですが、さすがに持ち運ぶにはかさばるし、かといって送ってしまうには金額がかさむし。
(北海道と沖縄をのぞくと一番高い送料だそうで。)ちょっと考え込んでいたら、他の店で買いものした分もあれば一緒に送ってくれるそうです。
鞆の浦は保命酒が有名だから、そっちもみていったら?」って言われて通り沿い、斜め向かいの保命酒店に案内して(引っ張って)貰いました。
鞆の浦の名産なんてぜんぜん調べもせずに来てしまったものですから、その申し出はありがたいです。
ちょうど斜め向かいのお店、名前もそのまんまの「保命酒屋」さんで、漢方の香り漂う甘いお酒、保命酒を一本買って乾物と一緒に送って貰うことになりました。

    • -

鞆の浦@カフェでお昼ご飯にします。
常夜燈のある埠頭に店をかまえるカフェ。表面が痛んだ土壁がそのまま残る古民家をモダンなボードで仕切り、古さと斬新さが混在した空間です。

トマトと長ナスの冷たいパスタを頂きました。

カフェから外の様子。

    • -

いろは丸展示館鑑賞。
この地に昔からある伝承、「唐人船が沈没した。」ただの噂だと思われてましたが、実は坂本竜馬が乗船していた「いろは丸」だったのです。
その証拠を探すべく地元の町おこしスタッフ、はてはテレビ局を巻き込んだ大プロジェクトに発展。この地に発掘の再現と資料。実際の発掘物を展示するスペースとして誕生したのがいろは丸展示館です。

    • -

太田家住宅を鑑賞。
鞆の浦名産、保命酒。その酒の生産を藩から認められ独占生産していた酒蔵(旧保命酒屋)が太田屋です。江戸時代から残る旧家で、主屋と、酒造に用いた土蔵群からなっています。江戸当時の小気味の良い洒落と遊び感覚を残したインテリアと、生活の知恵が満たされた収納など見所満載です。ガイドさんが付いて案内してくれるので、とっても勉強になりましたね。

        • -

医王寺から、町中を通って鞆港バス停方面へ。焼杉材で作られた家が立ち並ぶ、色合いからして私の地元にはない風景。途中のお土産物屋さんで絵葉書を買ったり、ポニョの手作りストラップを買ったりしながら、のんびり歩きます。
この街道がメインストリートになるんですが、車が、それも軽自動車がようやくすれ違えるような狭い路地です。


    • -

対潮楼・福禅寺に立ち寄ります。ここのお座敷からの眺めが良いとのこと。拝観料200円払って中へ。開け放たれた障子戸、正面に仙酔島がまっすぐに目に飛び込んできます。照明のない寺の境内。光の少ない落ち着いた室内から眺める、緑鮮やかな島。まるで屏風絵のようです。

…そうか、仙酔島か。行ってみよ。

        • -

もう、夕方3時をまわっているんですが、仙酔島に渡ります。船券売り場で時間を確認。
「これから渡って、見て回る時間はありますか?」
「暗くなるまで船は出てるから大丈夫」
…いや、さすがに暗くなるまではいません。(笑)

もう一つの舞台仙酔島。宮崎監督はこの島と鞆の浦をワンセットで映画の舞台に仕立て上げたのではないでしょうかねぇ。ならば、この島から見る鞆の浦の町並みもおもしろそうなのでちょいと散策です。
島の南側、田ノ浦海水浴場はちょうど南向きで四国側に向いています。港は見えません…。
その先の遊歩道は台風で破壊されていて通れません。
ええい!なら上だ。大弥山の大弥展望台に行ってやる〜。
んでまたヒーコラの旅ですよ。フツーに登山のルートじゃないですか。700mほど急斜面を登っていきます。
展望台到着。…。はい残念。この展望台からは木々がじゃましてほとんど見えませんっ!デジカメの液晶画面を無視して、片腕をぐ〜っと上げて撮ってもこんな感じ。

ええい、なら少し降りたところにある中弥山に向かう!
…。展望台ですらねぇ。木々に完全に囲まれて景色が見えませんっ!結局波止場方面に降りていく間景色はぜんぜん見えませんでした。
くそー、おかげでだいぶ体絞ったぞ!あんたなんかの為に山に来たん(以下略)。
とはいえ、子供たちがはしゃぐ砂浜で足だけ浸して涼をとります。澄んだ水は足元に魚が近寄ってくるのが見えるくらいです。

        • -

日が落ちて…町がオレンジ色に染まり始めてきました。通りを彩っていた店々は入り口を閉ざし、路地裏からは香ばしい焼き魚の匂いが漂ってきます。人々は明日の生活の準備にせわしなく歩き、外からの観光客の姿もほとんど見えません。

…。あ、夕日に染まるポニョの町を写真に残したいっ!
ええい、どこがベストスポットだっ?
円福寺は?
まずは東側の円福寺の境内へ駆け上がって…いやまてよ、ここは木が邪魔して山はともかく港の様子は隠れてしまって見えなかったはず…。
と、思っていたら、今朝方驚かしてしまった猫ちゃんに再会!

うわ、さっきはゴメンなあ〜。

    • -

ああっ!そうこうしている間に日が暮れてしまうっ。
よし、医王寺へGO!
観光客もほとんどいないっちゅーのにまた石畳をヒーコラ爆走です!
ぜはーっ、ぜはーっ。ちょい日が落ちすぎてオレンジ色は彩度を落としかけていましたが…よかった〜。もう思い残すことは…まあ、30パーセント位は未練が残りましたかね…。




薄暗くなり、蒼に彩られるバス停「鞆の浦」のんびりバスを待ちます。