黒川温泉「山の宿・新明館」

annon2009-02-07



熊本県にある小さな小さな温泉郷。ここは手つかずの古き良き日本が残された秘境の湯…と、思いきや、温泉郷全体で徹底的に「日本の田舎」を作り上げるために数々の演出がなされている、田舎のテーマパークとも言うべきところ。ここには古い日本がある。誰もが子供の頃見た風景、建物、アイテムがある。
その徹底ぶりは木にも見られている。
明らかになんでもない普通の雑木。時には並び、時には旅館を覆い隠さんとばかり雑多に生えている木々。これは高い計算によって昔からここに生えているかのように植林した結果なのです。同じお金をかけて植林するなら見栄えの良い庭園風になるように選ぶところを、山から採取した木を、もっとも自然に生えているように配置するだけ。この木々が、黒川温泉を私たちが昔見てきた田舎の風景に見せているのです。

新明館は、これら田舎のテーマパークづくりのリーダーシップをとった温泉です。ここの最大の売りは、なんと言っても洞窟風呂です。宿の館主がが3年の歳月をかけて、のみとハンマーでこつこつ掘った風呂。表面は荒々しく欠け、先は曲がりくねり、人目では全景を見渡せません。てか手堀かよ。スゲーなあ!こんなの見せられたら笑うしか無いじゃないですか。
泉質はナトリウム塩化物・硫酸温泉。ほとんど匂いのしない澄んだ透明のお湯。入ったときは少しぬるめでしたが、非常に湯冷めしないお湯です。浴場を離れ、時間がたっても体中が火照った感じで汗もにじんできます。

お料理も地元のもの中心。鮎などの川魚。馬刺、山菜類など。よくあるお刺身が無いのが徹底しているところ。わざわざ海のものを持ってこなくても美味しいものは周りの沢山ある。これこそが贅沢の極みですねぇ。