コミケ1日目

annon2009-08-14

東館に並んでいます。暇つぶしに描いていたスケブが汗でボコボコになってもた。ホンと、絵の初音ミクのように扇いでほしいっス



コミックマーケットシンポジウム
「ユーザーが生み出す超多様性市場としてのコミックマーケットとその今後」に参加。
パネリストとして、
コミックマーケット準備会共同代表、筆谷芳行さん。東京大学田中秀幸教授。東京工業大学の出口弘教授。
モデレーターとして、ファッション関係で東京工業大学の特任講師の中村仁さんの出席。



出先での更新なので備忘録

まず、コミケット代表の筆谷さんからコミックマーケットの現状を報告。
すこし誤解していたのが、いまだにコミケが女性参加者が多いという現状。出展参加者の71パーセント、一般参加者の57パーセントが女性という。最近の傾向として、青年向け18禁同人誌の台頭により、いわゆるオタク参加者が多い印象があったのですが、まだまだ創作者、参加者としては女性が多いようです。

出口教授のプレゼンが続きましたが、結構早口な上、プレゼンボードもころころ変わっちゃうので印象が今ひとつ残んなかったのが残念。
ただ、もうすでにいくつかのサークルを回ってきたこと。(後の田中さんの時にも話がありましたが、田中さんを引き連れてボーイズラブの同人誌を漁っていたそう。東京工業大学東京大学の教授がボーイズラブ…さすがに会場爆笑でしたわwwww)


日本のコンテンツがいわゆるハイアートのような一点ものではなく、浮世絵など複製文化であり、それをもたらしたのも、西洋の貴族文化に対して大衆文化の娯楽的な要素が高いこと。
コンテンツの発信の仕方をいろいろなジャンルにまたがらせて、そのいったりきたりを遊ぶのが得意な人種であること。それはメディアミックス展開などを手がけることからもわかる。江戸時代でも、文章としての読み物や、演劇などの映像コンテンツ、座敷絵など講談を交えた見世物など、たとえば忠臣蔵を題材にしてもさまざまなメディアミックスを行ってきたこと。
現代は、四上流+1と定義づけ、漫画、ラノベ、アニメ、ゲーム(さらにフィギュアも加えられるとのこと)で成り立っている。それらは、原作を出発点としてはいるが、さまざまな表現の場を変えながら、遊びながら変化していくものだとのこと。

それらは、日本を離れ、海外に逆輸入されている。ドイツなどの異国では、同人作家のほうが日本的ないわゆる萌える絵を描いているのに対し、商業作家がデッサンの崩れた、日本的に未完成な絵を商売にしているという逆転現象がおきている。
また、「ライフスタイル・メイドインジャパン」(…だったっけかな)と題した本もあり、鹿鳴館時代から西洋のハイアートに劣等感を抱いていたはずの日本人と日本文化が、ライフスタイルを賛美されるという、鹿鳴館時代の悲願を漫画が達成している事実があること。(ここで会場に笑いと大拍手が!)

ウッドストックというイベントと、コミケットとの比較も。
参加者数は同じ規模だが、出展側として参加する人数が桁違い。ウッドストックには出展者と参加者には天と地の差があるが、コミケでは出展者も多く、容易に出展者側に入ることもできる。しかも、ウッドストックの年1回に対し、年2回、マイ神在り週がある…ここの出展者に対して、マイ神と発言するところが凄いなあ〜。

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田中教授のプレゼン。最初に、出口教授の後ろをついていってコミックマーケットを見学していたこと、出口教授に連れられるまま、ボーイズラブ系のサークルさんをめぐっていたこと。(ここで爆笑)
コミケの楽しそうな雰囲気。市場という経済的な雰囲気だけではない、好きだからできるというマーケットへの研究。
日本のコンテンツ産業が、たとえば、欧州は文化的価値に重みをおき、また、実用性や、経済的価値に満遍なく視点を注ぐのに対して、より教養や娯楽に対するベクトルが、日本では高いこと。
これは、市場の成長を政府が後押しするヨーロッパ的な考え方ではなく、コミュニティ(同好の士)がその発展に大きなウエイトを置くという日本的なコンテンツの進み具合に注目をする必要があるということ。
そういう意味では、コミケの役割がとても重要であることが話されました。

総評として、これら学術的研究の目がコミケに注がれることに対して、
筆谷さんから、こちらは研究される立場なので、深く考えることは無意味である。ただ、研究者はぜひコミックマーケットに参加し、一般参加者から、提供側に踏み出した人々を見つめてほしい。感想を伝えてほしいとのこと。その感想が、提供側の器を大きくし、最後には、コンテンツとしての成熟を進めるきっかけになると。好きなキャプテンハーロックの言葉として、想いをバトンとして受け継がせていくこと。それが大事だと。漫画が楽しいというバトン。コミックマーケットが楽しいというバトン。それを繰り返し繰り返し渡し続け、会を存続させることこそが大事たと。ただ、バトンを渡しつつ、いまだに第一線で参加している者ばかりですけどね〜という話も。(会場笑い)

出口教授や田中教授にとっては、文化経済論として、新たな経済システムの構築、それが大企業が一方的に流すシステムではなく、組み換え可能な小規模な経済システムが、いずれ大企業も巻き込んでいくだろうと。それを見守る場としてコミケは面白いところだとの話。

最後に筆谷さんから、コミケに参加し、最後の拍手を聞いてください。これは、お金を払い、企業が仕掛けたイベントではけして起こらない現象なのだと。そして、会場を撤収するお手伝いをしてほしいな〜と(会場笑い)あれだけの机やいすが、わずか1時間足らずできれいになくなるさまは、ほかでは見れないとのこと。
そして、最後の反省会で、記録に残せないような発言が、こちらもハイになっているので飛び出すかもしれないから、車座になって代表とスタッフが話している場に(撤収を手伝った上で)参加してくれたら、いいな〜という話がありました。


こんな感じで、コミケが実は、文化的側面、経済的側面で学術的に研究されているという事実と、それを研究している教授が、こちらも笑っちゃうほど濃い人だったことに、これからの日本経済の、ヘンな安心感と、一抹の不安を感じた一日でした。すげーなもう。